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ベアトリーチェの庭園物語 紗音と譲治のドタバタ記念日編


カケラの海からの艦隊が敗れたと言ってもバアル軍側にはまだ二万もの陸戦部隊がいた、フェリオンはそれらを投入に一気にケリをつけようと攻撃命令を出した……。


                        タイムなのですっ!!!!


  「…………はぁっ!!?」
 唐突に響いた声にフェリオンは思わず素っ頓狂な声を出してしまった、そして声の下頭上を見上げると頭に角を生やした巫女服の女の子が舞い降りて来た。
 「……お前は……羽入だと!?」
 「”上”からの緊急通達なのですぅ!! この書き手が譲治の日および紗音の日の話を書くのでこのバアル軍侵攻の展開は一時中断なのですよ〜〜〜〜〜!!!!」
 言ってる事の意味がすぐには理解できず唖然となったがその言葉の意味がひとつしかないと分かり大声で叫んだ。
 「何だそれっ!!?……つか、そんなのありかよぉっ!!!?」


 「……っつう事でぱ〜〜といくぞ皆の者!!」
 「……いいのかよ……」
 ご機嫌な様子で戦人とエンジェ、それにロノウェとワルギリアに宣言するベアトにすっかり呆れ顔の戦人、ここしばらく記念日のお祝いをしてなかったからそれ自体に異論はないのだが、しかしいくらなんでも展開がメチャクチャすぎる。
 「ぷっくっくっくっくっ、戦人様そうお気になさらずに、どうせ次の話では何事もなかったかのようにバアル軍との戦闘が再開していますよ?」
 「そうですねぇ……とにかくせっかくの小休止なのですからあなたも楽しまないともったいないですよ?」
 「…………お前らもかよロノウェ……ワルギリア……はぁ……」
 ベアトの執事と師匠の魔女にまでそう言われると気にするのも馬鹿らしくなってくる、救いを求めるようにエンジェの方を見ると彼女はすでに諦めきったという風に苦笑をしてみせた。
 「……ったく、だが肝心の紗音ちゃんと譲治の兄貴がいないのはどういう事なんだ?」
 「ふっふっふっふっ、それはな? あやつらをこっちに招くのも良いが偶には妾達の方から向こうへ押しかけて驚かせようという寸法よ」
 「……はぁっ!? またあんたは妙な事を……」
 エンジェに先に言われたが戦人も同じことを思った、しかも押しかけるというのはおそらく六軒島へという事なのだろうが紗音はともかく譲治がいるという保証はないはずだ。
 しかしそれを言ってもベアトは不敵な顔を崩さない。
 「まあ、黙ってついて来るが良いわ」

 
  今日の紗音が上機嫌なのは譲治がやって来ると聞いたからだ、しかも絵羽と秀吉は伴わず一人らしいのだから余計に嬉しい。
 「〜〜〜〜〜♪」
 「ずいぶんとご機嫌ではないか紗音よ?」
 客間の掃除中に不意に声を掛けられ紗音は驚いたようだがそれがベアトだと分かるとほっとする。
 「いらっしゃいませベアトリーチェ様、今日はどうされたんですか? またゲームのしすぎでワルギリア様に怒られたとか怪しげなパソコンゲームとか同人誌を見つけられたとかですか?」
 「……おい! お主は妾を何だと……」
 当然の事のように言う紗音を睨んでみるが思い返してみると大抵は彼女言うような理由でこっちへ来ていた様な気もしないでもないので言い返せない、なのでを咳払いすると話題を変える、と言うか早々に本題に入る。
 「あ〜〜〜今日はだな、お主と譲治の記念日を祝いに来てやったのよ、ありがたく思うのだな紗音よ?」
 「はぁ……って記念日!?」
 言われて思い出したのだろう、またも驚いた顔になりその後何かを思い付いた様にはっとなる。
 「まさか……譲治様もベアトリーチェ様が!?」
 「うむ、事前にそう手配しておいたのよ。 感謝するが良いぞ紗音よ!」
 紗音は感激した目でベアトを見つめ「ありがとうございます」と深々と頭を下げる、そんな紗音にベアトは少しこそばゆい気分になりながらも偶には人に感謝されるのも悪くはないかとそんな風に思うのだった。

 

 そしてやはり”こいつ”も六軒島に向かっていた。
 「……こ、こいつとは何ですかこいつとは……はぁ…はぁ……」
 今日は天気も良く穏やかな海とはいえスク水にライフジャケット装備で長距離を泳ぐのはしんどい、しかし「ヱリカが六軒島に行くにはスク水ライフジャケットで漂着がデフォよね★」とベルンに言われれば従うしかない。
 「……ひぃ…ふぅ……まったく毎回毎回漂流する身にもなってほしいですわ……」
 何度目にもなろうかという愚痴、ちなみにそれをベルンに伝えたら黒い笑顔で「……あらぁ? 今回の祭具殿は五割増しねぇ〜〜〜♪」と言っていた。
 「……って! 告げ口とかしてんじゃねえですわぁぁぁあああああああああああっ……ぎへ!?……ごふぉ……」
 ヱリカはおもいっきり海水を呑み込んでしまう、こんな海のど真ん中で大声を上げれば当然の事でありぶっちゃけ自業自得である。
 「……こ、こいつぅぅぅうううううううう……」
 その時左腕が何かに触れたのを感じた、その次に瞬間である。
 「あぎょぇぇぇええええええええええええええええええええっっっ!!!!?」
 轟音と共にド派手な水しぶきが上がりヱリカを吹き飛ばしたのであった……。


 ベアトと紗音が礼拝堂へ向かっているのはそこで記念日パーティを行うためである、その途中で紗音はふと足を止めた。
 「……?…ベアトリーチェ様、今何か聞えませんでした?」
 「ん?……ああ、多分対ヱリカ用に仕掛けておいた機雷が爆発したのであろう? あやつの事であるからどうせ六軒島へは漂流して来るであろうしな」
 「……ああ、あの方ですか……」
 紗音もヱリカとは何度か会っている、その度に普通なら死んでいるだろうという目に合うのに何故か次の回ではピンピンしてるのである。
 『ちょっと待ったぁぁぁああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!!!』
 その時拡声器を通した様な女性の声が響いた、紗音もベアトも良く知る声である。
 「……え、絵羽様……って、えぇぇええええええええええええええええええええっ!!!?」
 上空から落下して来たのは巨大な緑色のロボットだった、楕円形のボディに脚を生やし口の様に思えるビーム砲らしきものもある。
 「はぁ? ジオン公国軍のモビルアーマー・ビグザムだとぉ!?」
 『その通りよ!』
 二人を通せんぼする様に立ち塞がるビグザムから聞こえる声は間違いなく右代宮絵羽だ。
 『このジョーシャノを破局させ隊”がいる限りあんたと譲治が無事に記念日を迎えられると思わない事ね、紗音ちゃん!!!』
 『……ったく、本当にこの人は息子さんの事となると大人気ない……』
 『……そうっすねぇ……』
 呆れた二人の男の声も聞こえる、その声は確か小此木と天草という人達だったと紗音は思い出す。
 「お主はまたなんちゅうもんを……」
 『当然よ! 並大抵の力であんた達みたいな非常識軍団には対抗できないんだからねぇ!!!!』
 「……ったく、仕方のない奴だ」
 この事態もある程度は予想していたのか落ち着いた様子のベアトは大きく溜息を吐く、その次の瞬間に響いたのは紗音のいとしい男性の声だった。
 『あんたって人はぁぁぁああああああああああああああああああっ!!!!』
 『……えっ!?……ちょ……きゃぁああああっ!!?』
 上空から舞い降りて来たのは白く巨大な人型のロボット、そのロボットは手にした光のブレードでビグザムの左脚を斬り裂く、片足を失ったビグザムが地に倒れ地響きがするのと同時に白い機体も着地する。 
 『……ちょっ……これってガンダム!?』
 「そうよ! こんな事もあろうかと妾が用意したザフト軍の最新鋭機デスティニーガンダム!!」
 『くっ……ストライクフリーダムじゃないのは中の人ネタなのね!?』
 「くっくっくっくっくっ! そう言う事よ絵羽ぁ!!」
 紗音には絵羽とベアトの会話はほとんど意味不明だった、分かるのは白いロボットの名前がデスティニーガンダムでそのコクピットには愛する譲治がいるだろう事くらいだ。
 『母さん! 僕はあなたを傷つけたくない、でも僕と紗代の邪魔をしようというなら例え母さんでも斬るよっ!!』
 『……じょ、譲治っ!?』
 ブレード――ベアトが【アロンダイト】と説明した――をビグザムに突きつけて宣告する、その声に迷いは感じられずもし絵羽がまだ抵抗するなら容赦なくそのコクピットを突き刺すだろうと思えた、そしてその本気さは絵羽にも伝わったのだろう。
 ビグザムの機体上部にあるハッチから絵羽がとび出し走り去った、そしてそれを見届けたというタイミングでデスティニーが【アロンダイト】をビグザムに突き刺しエンジンを爆発させずに無力化した。
 (……あれ? あのロボットって絵羽様以外にも誰か乗っていなかったでしょうか…?)
 デスティニーのコクピットが開き譲治が降りてくるのを見ながら紗音はそんな事をふと思った。
「……まったく……”自分”の事ながら本当に大人気ないと思わ」
 「母さんは母さんなりに僕の事を考えての事なのは分かりますが……」
 礼拝堂には様々なお菓子が乗ったテーブルが用意されベアト達庭園の魔女と眷族達が紗音と譲治を歓迎した、そして外で起きた騒動の顛末を聞いたエヴァ・ベアトリーチェは情けなさそうに言うと譲治は母を庇うようにそう返す。
 「そうですね、絵羽様も譲治様のお幸せを考えての事……それが母親というものというのは理解できます……」
 「……母親か……」
 絵羽と譲治のどちらが正しいのかを断じる事は出来ないだろうとエヴァは思う、それは幸せに決った形などなく例え親子という一番に近しい存在であってもそれぞれに考える幸せというのが違いそれがすれ違いを起こすと言うのは虚しい事だと思えた。
 「……ってか、ビグザムだのガンダムだのって絵羽叔母さんやあんたはどっから持ってきてんのよ……」
 そこへエンジェがやって来る。
 「そんな細かい事は気にするでないわ、気にしたら負けよ」
 ベアトがそう答えるとエンジェは大きな溜息を吐きエヴァに向き直る。
 「……しかし情熱的な恋って憧れもするけど、ちょっと怖いわね」
 「……怖い?」
 「大事な家族を捨ててでも恋人と添い遂げるってのが、家族を捨ててもいいって思えるって怖いわ……」
 エンジェには家族と訣別した先に幸せがあるとは思えないのだろう、何よりも大事な家族を捨ていいと思うようになれてしまうことは彼女にはきっと怖い事なのだろう、そしてそういう怖い人間に自分が変貌するというのを想像してしまえば情熱的な恋とはエンジェにとって憧れるようなものではない。
 恋だけではない、何かに盲目的になり狂気に走り変貌する人間の怖さというというのはうみねこのなく頃に本編で散々語られた事なのだから。
 (……結局人間は自分自身の心を……感情すら扱いかねている生き物なのかしら……)
 そこで何だからしくない事を考えてるなよ気がつき苦笑した、どうせこんな事に答えないんてあるはずもない、だがそれでも紗音に言っておく事はあるなと思い付く。
 「言っておくけどね紗音、あたしだってあんたの事を完全には認めてないのよ? 譲治の決断を信じて尊重はするけど、もしこの子が不幸になろうものなら力づくでもあんたから譲治を取り戻すわよ?」
 紗音の目をしっかりと見据えながらエヴァは言った、彼女は一瞬驚いた顔をしたがすぐににこっと笑いエヴァの目を力強く見返し言うのだった。
 「大丈夫です、私と譲治さんはきっと……いえ、必ず幸せになりますから」



 祭具殿内に巨大なプールがあるのはもちろん遊泳のためではない、入った者が逃げられない柵で囲まれているそのプールで水しぶきを上げながら必死の形相で泳ぐヱリカのすぐ後ろから巨大なジョーズが迫っている。
 「ひょぇぇえええええええええっ!!!? お…お助けぇぇええええええええええっっっ!!!!」
 「……まったく、まさか六軒島に辿り着くするら出来ないなんてねぇ〜★」
 本日のヱリカへのお仕置きは、彼女の水泳の特訓も兼ねたジョーズとの追いかけっこであったとさ……。
 「ひぃぃぃいいいいいいいいっ!!!……ってかいい加減に私も幸せにしろやこのアホ文士がぁぁぁああああああああああああああああああああああっっっ!!!!!!」