「Farewell,MyLovely i everyday(さらば、愛しき日々よ)」

世の中は誰も彼にも平等ではない。
今その時は平穏に見える日常も次の日には様変わりしていることもある。
そう、そして彼等もまた、その日常が非日常へと様変わりしてしまう有様を、見せ付けられるのであった



助けて

なんて都合のいいことは死んでも口に出せない。
今、ここにいられること。それさえも奇跡の一端でしかないのだから
                         −魔女操りの司祭-

小夜「では。お先に失礼します」
ウィル「ああ、お疲れさま」
リアーナ「お疲れさまなのじゃ」

職員の中でも一番最後にSSVDの執務室を出たのは明日のお茶の用意をしていた安田小夜だった。
後に残ったのは本部長のウィラードと副本部長であるリアーナのただ2人だけ。
特段に珍しくもない光景・・・なのだがウィラードは何故か腑に落ちなかった。

昼休みの一時間前、リアーナだけが一人。上司に呼び出されそれからかれこれ2時間は帰って来なかった
本人に問いかけたが書類を書かされていたとの一点張りなだけでそれ以上は進まなかった。
ハロウィンの祭りは一週間以上前に終わったし、特別な書類は何もなかったはず
それに、本部長である自分を飛ばしてリアーナだけが書くもの・・・そんなものに心当たりはなかった

ウィル「・・・なぁ、リアーナ。」
リアーナ「なんじゃ、ウィル。・・・書類の手を止めたくないのじゃが」

顔を上げずに返答する彼女に彼は思い切って感じたことを言葉にしてみた。

ウィル「お前、なにか隠し事していないか?俺と・・・他の職員らにも」

書類にサインをしていた彼女の手がピタリと止まる。

リアーナ「どうして、そう思うのか」
ウィル「どうもこうもねぇ。・・・勘なのさ、外れて欲しかったけどな」

彼女が手を止めただけで何か隠し事があると悟った彼はややため息を付く。

ウィル「何を叱られたんだ?上の奴等に・・・ハロウィンでドラノールらとはしゃぎすぎたのがいけなかったか?」
リアーナ「っ・・・・そんなことではないッ!!」

少しおどけて見せた彼の声を遮るかのように彼女の怒号が響いた。
しまった、と表情を曇らせてから、彼女は目を伏せがちに言葉を続ける。

リアーナ「すまない・・・・」
ウィル「いや、俺こそ。悪かった・・・」
リアーナ「ウィラード・・・今から話すこと、他の職員には言わないで欲しい」

その寂しげな声にウィルは嫌な予感を感じながら、それに同意し、話を聞いた

その夜。

リリリン
黒電話の音が鳴り響く部屋で理御はダイアナの餌を片手に受話器をとった

理御「はい、もしも・・・あれ?ウィル。ずいぶんと遅いんですね?残業ですか?」
ウィル【ああ。そんなところだ・・・というか今日は泊り込みになりそうだ。わりぃけど】
理御「はいはい。ダイアナさんのご機嫌を損ねないように注意しますから・・・ウィル?」
ウィル【あ、ああ・・・頼んだぞ】

電話を切ったウィルの声を不審に思い、理御は足元に擦り寄ってきたダイアナを抱き上げる
理御「君のご主人様はよくわかりませんね。・・・ダイアナ」

にゃーぉとダイアナが一声鳴くだけであった。



次の日、職員達は次々と出勤してくる中、リアーナだけの姿が見えない。
そして外務用のボードに大きく【急用】とだけ書かれていた。

小夜「なにか、あったのですか?副本部長に」

そういってウィルにお茶を出した小夜が心配そうに聞く。
ちなみに、早朝にアルスアインがいつもどおりに1番手で出勤したときにはウィルがソファーで寝ていたとある意味で今日の職員中のネタとなっていたのは割合する

ウィル「・・・いや。なにも」

彼はそれ以上は口を開かなかった。
それ以外は通常の業務、とはいえ今日は珍しく「外務」もなく、内部でただただ書類整理に追われるだけ
副本部長がいないので全ての書類はウィルに回ってくる。

ヱリー「流石にあの量はなんとかならないものかしら」

ウィルの前に詰まれた大量の書類を見て呟く。
現在は一般的に10分休憩中だが到底間に合いそうにない書類の量のためウィルは時間をずらして休憩をとることにしていた。

小夜「副本部長のことについては相変わらずだんまりですし・・・まぁ、良い気味かと」
シーナ「小夜先輩・・・オーラが黒いです(滝汗)」
アルス「じゃあ、俺は厨房の手伝い行って来るわ」
夜神「あ、昼食の仕込みでしたっけ。いってらっしゃいませ」
ヱリー「そういやぁ、もう11時なんだねぇ・・・」

ゴーン、ゴーン。と本部内の時計が午前11時を指す鐘の音を鳴らす。

リリリリン

突然けたたましく鳴り響く電話の音
小夜が慌てて出ようとするとその前に受話器をウィルがとった

ウィル「もしもし・・・・」
【はぁい、麗しのラムダデルタ様よぉ】】

相手の声が聞えたのか、少し驚きの表情になるがすぐに表情が他の職員に見えないように椅子から立ち上がり、背を向ける。

ウィル「なんのようだってんだ。」
ラムダ【アンタのとこの副部長、大変なことになってるみたいね】
ウィル「・・・ああ、そうだな。」
ラムダ【私が協力してあげてもいいわよ〜?】
ウィル「いらねぇよ、そうでなくても大丈夫だ」
ラムダ【本当にぃ〜?】

シーナ「だ、誰からのお電話なのでしょうか?」
ヱリー「少なくとも本部長の知り合い、と見たほうが妥当かと。しかも、なかなか苦手な相手だと見ましたわ」
小夜「副本部長相手ではない。とのが推理できるぐらいでしょうか」

ラムダ【とにかく、今からアンタ一人ででも来なさいよ】
ウィル「・・・わかった、今から行く。」

そうして電話を切ったウィルはコートを着込みはじめる。

小夜「お出かけですか?」
ウィル「ああ、ちょっくら鳴いてる子猫を助けにいってくらあ」
ヱリー「私達が、必要なのでは?」
ウィル「大丈夫だ。俺一人で行ける・・・小夜はクッキーの用意でもしといてやれや」
小夜「・・・わかりました。子猫さんにもよろしくお伝えください」
ウィル「ああ・・・」

パタン

部屋に残されたのはヱリーと小夜とシーナ、夜神だけ。
そして、意味のわからない会話についていけず混乱していたのはシーナだけ

シーナ「あ、あの。今の会話はいったい・・」
ヱリー「そうですねぇ。要約すると【お姫様のピンチに勇者が出て行った】というところでしょうか」
小夜「【君を助けに来た!!】って本部長が言ったらカッコいいでしょうしね〜」
夜神「本部長は手甲弾使わないと思いますけど〜」
シーナ「???はぁ・・・そういうものなのですか?」

余計に混乱したシーナを余所にきゃいきゃいと笑いあう他の職員
こんなことならアルスアインさんが出て行った時についでに書庫にいけばよかったと後悔する新人社員(シーナ)

ガチャ

ルナシー「む。お邪魔だったかな?」
シーナ「あ、おはようございます。ルナシーさん」
ルナシー「ああ、ごきげよう。ところでさっきウィラード本部長に廊下ですれ違ったが、えらく気負いこんでいたようで気になったのでこちらへ伺ったのだが
何かあったのかね?」
ヱリー「王子様がお姫様を助けに行ったのですわ♪」
ルナシー「???そうか・・・」

首を傾げながらもルナシーはとりあえず納得したようだった

ルナシー「それと、気になる新聞記事を持って来たのだが、読むかね?」
小夜「この間のハロウィンイベントのゴシップならもういいですよ〜って・・・なんですか。これ・・・」

新聞を受け取って開かれた記事を見て小夜の手が震える。

ヱリー「何かあったのですか?」
シーナ「小夜先輩・・・?」

不思議そうに聞きつつ2人も新聞を覗き込み、驚愕の声をあげたのは言う間でもなかった。

『天下のSSVDに異端たる魔女が!?副本部長 ヴァルタス・リアーナの公開処刑へ』

「全く・・・・何処の誰がマスコミの飛びつきそうなネタを差し出したんだか」

そう言ってため息をついたのはモニター室が半ば自室にもなっているクネウス・ヴィギンティ
モニター室にいる理由は監視カメラを通じてSSVD全体を見るためと麗しの君ことドラノール・A・ノックスの<s>ストーk</s>ではなく見守り隊

クネウス「さてさて。この事態だとやはりSSVDのメンバーは集められてる、か
この場合だと次の行動は・・・」

画面に映るSSVDの本部にはぞろぞろと人が集められており、

リリリリン

モニター室の電話が鳴り響く

クネウス「はい。こちらMa・・・じゃなくてクネウス。」

小夜『いつまでモニター室で引きこもってるの!?さっさと本部に戻ってきて!!」

クネウス「そうは言いましても、はっきりいってこの件は僕等ではどうしようもできませんよ。
なにせ処刑したがっているのは僕等の上もまた上の上層部の方ですからね」

小夜『・・・アンタはやりたくないっての?』
クネウス「はっきり言ってしまえばそういうことです。勝てない戦はしたくないものでしてね」
小夜『・・・わかった。』

ガチャン

クネウス「はて・・・?随分とあっさり引き下がったような」

コンコン

クネウス「・・・どなたですか。おや、さぼたろ巡査にネモさん。どうかなさいましたか?」

さぼたろ「クネウス・ウィギンディ三等大司教殿をお連れしろとの命を受けてきた所存です。」
ネモ「というか小夜二等司祭殿の目が怖くて逆らえませんです。ごめんなさいッ!!」
クネウス「・・・仕方ない。いきましょうか。」

ある意味本気仕様な小夜に戦慄を感じつつ、捜査本部に連行されるクネウスだった。



その頃。天界の端の端・・・
とある広場で処刑の準備は滞りなく進んでいた。
広間を埋め尽くすは数万の屈強な兵士と集まった野次馬な一般市民が数千人
そしてマスコミが数十社

『こちら、あと2時間程で処刑が始まろうとしている広場ですが、既に大勢の市民達が集まっております。
あ、今。斬頭台に元・SSVD所属のヴァルタス・リアーナ死刑囚が姿を現しました。』

うぉぉぉぉぉ、と殺気立つ民衆。
無理もない話。彼らにとって魔女は基本的に悪意ある集合体でしかなく
それが魔女を狩るべき組織・・・その中でも屈指のSSVDにいたと言う事実

もちろん、それを止めるのは数万の兵士達だが彼らの上司はそれを見晴らしの良い高台で見物していた。
太った体系にいやらしい目つき、カール状にした口ひげに同様の髪型をしている人物。
彼の名はシロガ・ネーゼ議員。
魔女を毛嫌いしているのが有名な彼はたまたま入手した情報を元に今回の処刑に決定を下した人物である。

ネーゼ「コラコラ、君達ちゃんと守りたまえよ。あくまで処刑するのは君達の側なのだから
一般市民に死刑囚を討たれたんじゃ面子が立たないだろう?」
警備員「はっ。仰せのとおりに暴動はできる限りにお止めいたします。」
ネーゼ「フフン。とにかくこれで目障りなモノがまた一つ消えうせる訳だ。
ワシが単なる一議員じゃなくてもっと上へ上り詰めることができるのも時間の問題じゃー」

『広場では暴動が起きそうな勢いで・・・ってアレは!?』

民衆と兵士の間・・・そこに一つの影が現れる。
茶色い短髪に赤色のメッシュ。青いコートを翻した彼は・・・
ウィラード・H・ライトその人だった。

ウィル「今日の俺は機嫌が悪ィんだ。手加減できると思うなよ?」

そう言って斬頭台の方向へと向かって愛刀を持ち、突っ込んでいった。



その頃のSSVD捜査本部。
全員で話し合いが行われようとしていたのだがたまたま付いたテレビにウィラードが派手な戦闘を行っているのを見て全員が固まっていた。
呆気にとられた表情のモノもいればため息をつくモノもいる。

ヱリー「まさかとは思ったんですけど。本当にやっちゃってるとは・・・」
小夜「たしかに王子様だけど・・・イマイチなんか足りないっていうか」
シーナ「そ、そんなこと言ってる場合じゃなくてどうするんですか!?」
クネウス「まぁ、ボクらも此処にいる時点でなんらかのお咎め受けそうだな。上の方から」
さぼたろ「上って・・・天井でも抜けるんですか?」
ネモ「そっちの上じゃないと思いますけど」
ルナシー「とりあえず、お灸を回避できる方法が先決ではないのかね?」
アルス「今の世の中で次の職探しするの厳しいしなぁ・・・」
小夜「そんなもの、本部長に責任とってもらえばいいんじゃない?」

しばしの沈黙

ほぼ全員「それはナイスアイディア」
シーナ「それでいいのですか!?っていうか今の間はそれだったのですか!!?」
ヱリー「それがSSVDクオリティですよ」
小夜「黙ってて怒られるのは癪ですし。なにせ副本部長を救いたいのは私もですから!!
行きますよー!!」
全員「おおー!!」

シーナ「っていうかこんなノリでいいんですか」

シーナのツッコミを無視し意気揚々と本部を出たメンバーが出くわしたのは・・・

ドラノール「皆サン。お揃いでドチラに向かうのデスカ・・・?」
小夜「ドラノール・・・第一大司教・・・」
ドラノール「その反応からするとウィラードが勝手にしている理由とリアーナのことを解っている様子デスネ
ですが、今の貴方達はそれに加担することは許されマセン」
ヱリー「お言葉ですが。私達も黙って見過ごす訳にはいかないのです。」
ドラノール「では・・・仕方がありまセンネ」

ガチャリ

音を立てるとドラノールの手には赤鍵と青鍵の両方が現れる。

ドラノール「貴方方が暴れないように上層部から見張りを受けていマス。
流石に、SSVD総出で出られては困るのではないでショウカ」
ヱリー「くっ!皆さん、先に行ってください!!ここは私が引き止めます!!」
クネウス「でしたら僕も残りましょう。」

申し出たクネウスとヱリーを残し、脱兎のごとくで外へ向かう他の職員。

ヱリー「できるんですか?クネウスさん。ドラノールに一途な貴方が?」
クネウス「というか、ヱリーさんがドラノールに怪我させないかの見張りなようなものですが」
ヱリー「結局そっちですか!!」
ドラノール「相変わらずデスネ・・・」

ため息をついたドラノールは手にした赤鍵を空中へと投げる。
それは監視カメラに突き刺さり煙を上げた。

ドラノール「上から言われているのは本当デス。
ですが、ウィラードからも貴方達を頼むといわれているのが本当のところなのデス」
ヱリー「ドラノール一等司祭・・・」
ドラノール「外にガートルードとコーネリアを待たせてありマス。
どうぞ、お気をつけて行って来てくだサイ」

外に出た職員らを待っていたのは

ガートルード「お疲れさま也や」

アイゼルネ・ユングフラウのガートルードとコーネリアだった
思わず身構える一同にガートルードはため息をつき

ガートルード「皆さんに身構えられても困ります。・・・上司ドラノールがどう言ったかはわかりかねますが
我々も表立っては動けぬ身。多少のご無礼は申し訳なく思います。」
コーネリア「こ、ここからは私どもの少しの案内だけでご容赦いただきたく存じ上げるもの・・・です」
ガートルード「ついてきてください」

全員がついていくとそこは一際大きめの倉庫。
中に入るとそこには・・・

小夜「こ、これは・・・・」
ガートルード「ハロウィンが終わってからどうしようかと気兼ねていたものですが。おそらく役立つものと思います」
アルス「でもこれはただのハリボテだろ?ハロウィンの時はネモの能力で本物っぽくなっていただけだが」
コーネリア「たしかに見た目だけではハリボテです。ですが、その【ネモさんの能力】が今回の鍵となるとおっしゃっても過言ではないかと」
ガートルード「・・・ということですが。頼めますか?ネモさん」
ネモ「は・・・はいッ!!ボクのチカラで本部長達を救えるのなら!!」

そして、一時の作戦を立ている間にヱリーとクネウスも合流し、全員で広場へと向かうのであった。



何時間経っただろうか。
どんなに切り捨てても人数では明らかに上回る警備員にウィラードも息が上がり始めていた。
そしてそれによる焦りも出てきて何度か刀が空を切る。
その間にも押し寄せてくる警備員に苦戦を強いられる

その時、死角からの一撃が迫り、気づいた時にはもうダメかと思った

ガキィィン

小夜「余所見してる場合じゃないですよ。本部長!!」
ウィル「小夜・・・」
クネウス「と、僕達もいますがね」
ウィル「クネウス、アルスアイン、ヱリー、ルナシー、シネラリア・・・お前達」
ヱリー「乗りかかった船です!本部長、命令を!!」
ウィル「わかった。皆、頼んだぞ。赤鍵、青鍵の使用を許可する!!」
全員「イエス、サー!!」

そう言って全員が各々の武器を手に取り、戦場を駆けて行った。
それを断頭台の上から見下ろしているリアーナは顔を伏せていた。
理由は単純明快、あの包囲網を抜けるのは容易ではないと思っているからに過ぎなかった

リアーナ「何故・・・こんなことを・・・っ」
「そうねぇ〜一見すると全く抜けれそうにないけども」

執行者でもない声に驚くとそこにいたのは元老院の魔女、ラムダデルタであった。
執行者2人はその後ろで気絶している。

リアーナ「なっ・・・ラムダデルタ!!?」
ラムダ「はァい♪なかなか頑張ってるわね、貴女の仲間達。いいわね、諦めない子って好きよ。私」
リアーナ「馬鹿なことはやめろと言ったのに・・・皆聞かぬのだ」
ラムダ「それだけ大事だってことでしょー。で、アンタはどうなの?」
リアーナ「何がだというのだ」
ラムダ「いくらSSVDが戦闘したところでこの包囲網を突破するのは容易ではないわ。
そして、彼らはアンタを助け出すまでは一歩も引かないでしょうね。
結局待つのは討たれ死ってところかしら。」
リアーナ「わかっておる!!だからっ・・・」
ラムダ「アンタはその仲間達の思いに答える気はないのね」
リアーナ「なっ・・・・」

見るとラムダデルタの目は氷よりも冷たく見下した目をしていた。

リアーナ「仕方・・・ないであろう。私を助け出すよりも・・・」
ラムダ「見てわからないの?全員なんのためにこんな無謀な戦いに挑んでいるのか。
アンタのためじゃないの?だったら、自ずと答えは出るでしょ」
リアーナ「私・・・・は」

言ってはいけない。そう思っていた
言ったところで迷惑になると、そう思っていた。
だけど・・・

リアーナ「・・・けて・・・」

俯いた彼女の口から零れるのは思いのカケラ
そして王子が行き先を塞ぐ番人をまた一人切り伏せる。

ウィル「リアーナ!!」
リアーナ「私を助けて!!ウィラード!!そして皆!!」

彼女の叫んだ声は広場に響く。
一瞬だけ止まる激戦、そして・・・彼らは不敵に笑った。

ウィル「待ってたぜその言葉。聞えたか、コトネリア。降下してくれ」

ウィルがインカムを通して告げると灰色だった空が突然暗くなる。
雷雲・・・?否。巨大な飛行船が肉眼で見える範囲まで降りてきたのだ。
それを見て驚愕するしかないシロガ・ネーゼ

ネーゼ「馬鹿な・・・アレはハロウィンでの」
ウィル「ああ、アレはSSVDとアイゼルネ・ユングフラウが合同で作ったハロウィンのメインイベントの張りぼてさ。けどな
うちには生憎。観劇者としてモノを動かせる能力持ちと、機械に強いオペレーターがいるんでね」

<船内>
夜神「オペレーション013。待機中です。」
コトネリア「ハドロン砲準備中。頼みましたよ。ネモさん」
ネモ「『観劇者権限発動。』発射装置とエネルギー体との連動確認。
ハドロン砲発動準備完了。地上の本部長に通達」
百花「通達確認。『ハドロン砲の準備できました。』」

ウィル「よし。派手に斬頭台をぶち壊してやれ。リアーナ!!そこから飛び降りろ!!」

両腕を広げたウィラードに彼女は戸惑わず、真っ直ぐに斬頭台を飛び降りる。
その直後に飛行船から発射されたハドロン砲が忌まわしきそれを消し去った。

リアーナ「ウィル・・・ウィラード・・・」
ウィル「ああ。おかえり。リアーナ」
小夜「本部長!副本部長!!まだ感動のラストには早いですよ!?」

斬頭台がなくなったことで更に広場の警備員の数は多くなっていた。

ウィル「ああ。お前達、もう少しだけハッピーエンドへの道に付き合ってもらうぞ」

全員「了解ッ!!!」

うみねこがなかずともハッピーエンドへの道のりは険しい



原案
うみねこのなく頃に公式掲示板
S.S.V.D.〜六軒島事件捜査本部で推理スレ〜

著者
卯月華桜

キャスト
ウィラード・H・ライト
ヴァルタス・リアーナ
夜神
安田 小夜
百花
シネラリア・ライツホープス
ヱリー
ネモ・ニヒラス
アルスアイン・フェアヴァンドルング
クネウス・ウィギンディ
コトネリア
さぼたろ
M・グレイブ
ルナシー

ラムダデルタ(特別出演)
ドラノール・A・ノックス(特別出演)
コーネリア(特別出演)
ガートルード(特別出演)

       スペシャル・サンクス    
ネルネルネ・ルネ
白右鎖 離月
mano
いずん
らいた
Masayuki
神風刹那
SSHIN
藤井ねいの
だらっくま
トムキック

AND YOU!!




ピチチチチ
鳥の鳴き声がする。
気だるそうに起きた私を、写真の向こうの仲間達が笑顔で迎えてくれた。
あれは悪夢だったような、そして幸せな物語だったような・・・・
どちらでも構わない。あのことがなければ私は今此処にいられはしなかったのだから
もう、戻れない・・・だけどあの日々はとても楽しくて、愛おしかった。
だけれど、これからの私は、その日々を過去にして現在を生きていく。

そう、ハッピーエンドはこれからの未来にかかっているのだ。「大切な仲間達」と過ごす日々と一緒に・・・

fin

ブラウザの戻るボタンでお戻りください。