×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

【本気】と『本気』のぶつかり合い

注意点:
☆退屈しのぎです
☆フルンちゃんVSセイントです
☆『本気』VS【本気】です。という事は…?
☆尚、シュリちゃんが後見人にフルンちゃん? というのになっていますが、これに関しては後程。
☆後日談にオリキャラがいますww
☆ついでにセイントさんの魔法にオリジナル加えちゃった。

全ての可能性が集った領域、カケラの海…。
蒼と紫が入り混じった海には光の輝きと無数の歪な欠片が雪のように降り注ぐ。
星は無くとも、世界が集う。そういった表現で、この世界は言われてきた。
戦の音は鳴らず、平穏だけが訪れる領域で一人の航海者はじっと立っていた。
動きやすい様に加工された青と白が基調としたドレス。
腹の周りを白いレースで包み込み、胸元にリボンとブローチを着用している。
蒼髪に藤色の瞳。肩よりも長い髪を下ろしては強く拳を握り締める。
骨折する程に強く握った拳を握りながら下唇を噛み締めていた。

航海者の名は、フルンカステル。
言わずと知れた元老院在籍 ベルンカステル卿の姉にして…。
シュリ・ベアトリーチェ、スザク・ベアトリーチェ双方の後見人だった。




「遅かったではないか、忘却の住人よ」

背後から声を掛ける者にフルンカステルは振り返らずに黙り続ける。
握り続けた拳の痛さに血管が千切れそうになるが、それを気にせずに聞き流していた。
彼女に声を掛けた者は老婆が声を出すのに酷似している。
その声を聴くのが嫌だったフルンは下唇を噛み締めながら、老婆の口から言葉が出るのを待っていた。

「……ふむ、私の声を聴くのにも嫌気を差したか。そこまで彼女たちを愛しているとは、かつての罪悪人が聞いて呆れるのぅ」
「………」
「だんまり……か。ならば、早々に――――その首を貰い受けようかのぅ」

老婆は黙り続けるフルンに対し、呆れたのか空間を切り裂き、鎌を取り出した。
魔具【聖なる沈黙の鎌】を発動し、切っ先を彼女に向ける。

「さらばだ、フルート・ベルンカステル。哀れな、忘却の住人よ!!」

切っ先を彼女の身体に向けて振り下ろし、彼女の首を貰い受けようとした時…。
一瞬のうちにフルンの懐に納めていた宝玉が老婆の武器を抑え付ける。
それとほぼ同時にフルンは拳を解き、真正面を向け、宝玉は瞬時に宝剣へと武器を変化した。

「ほぅ、 まだ戦う気力は……ありそうじゃな」
「………」

フルンは、宝剣【エンジェリック・クロス】を片手で持ち、空いた方の手で魔法弾を生み出す。
魔力が濃縮された弾は今のフルンの感情を見事に表す。炎が燃えるように紅く熱い焔は煉獄の炎と言っても良い。
それをフルンは憤怒を込めた言葉で老婆に向けて投げた!!

「返して下さい、―――――」
「うむ? 何か言ったか?」




「私の大切な弟子を、返せと言っているのが解らないですかぁああああああああ!!」



煉獄の炎を投げると同時にフルンは宝剣を構えて瞬時に老婆の方へ向かって来る。
老婆はフルンが投げた炎を圧縮した氷の塊で防御し、宝剣を鎌で防ぎに掛かる。
宝剣を構えたままのフルンは、すかさず老婆に向けていく。

「ッ、たぁあああああああ!!」

宝剣の扱いに慣れているとはいえ、今のフルンは尋常ではない。
唯でさえ普段、使用する魔力を最低限に留めている彼女にとって、この老婆に立ち向かう事自体が不利と呼べるだろう。
格の差が違う。そう言ってしまえば解るだろうか。
神と同等の存在ではないと理解しても、格の差を理解されても立ち向かう。
愚かさゆえの手段だと老婆、セイント・ジョセール・メイデントは理解していた。
理解していたからこそ、フルンの攻撃を受け流し、鎌での近接攻撃をフルンに与えようとする。
近接攻撃を防ぎたくとも宝剣は先程の攻撃により遠くへ飛ばされ、普段の回避は憤怒という感情に支配されたまま、動く事も出来ない。
やられる! 頭に過った想いに突き動かされ、フルンが動こうとするが、それよりも先に逆に動いたモノがいた。

それは人ではなく、フルンカステルの象徴と呼ぶべきものだった。

「………」
「ッ!」

沈黙と舌打ち。
前者は凛とした表情を見せ、後者は明確に苛立ちを表す。
防御双璧で主を囲む姿にフルンの表情からは、少しずつだが怒りが薄れていた。
変わりに驚きが顔に現れ、セイントはより強く鎌を叩きつける。
蒼色の防御壁は力を強めているとはいえ、術者が術者ゆえに壊れるのは時間の問題だった。
双璧で幾ら固めようとも、所詮は……魔導器に過ぎないのだから。

「ブルー……?」
『………』

震える声でフルンが名を呼んだのは、いつも彼女の周りで飛び回っていた宝玉だった。
蒼く、色褪せて輝きを放つ宝玉『スカイブルー・サファイア』
魔導器としては最高水準を叩きつけたそれを防御壁で主たるフルンカステルを護る姿に驚愕していたフルンは己の愚かさを理解していた。
弟子たる二人を奪われ、囚われ、我を忘れて宝剣で叩きつけた所で今のままでは勝てない事をフルンは解っている。
解っているからこそ、勝たなければならない。時間神の力を持ったとしても、神には成れない愚者に教えなければならない。

「人工知能を持ったAIが、こうも主を護ろうとするとは思わなかった」
『……フルンは私のパートナーであり、私が護りたい人です。その主が戦えないならば私が代わりに戦うだけに過ぎない』
「ブルー」
『何でしょうか』
「……私なら、大丈夫です。迷惑を掛けましたね、――――久方ぶりに全力で叩きつけます。リミッター完全解除、出来ますか?」
『………』
「ほう。忘却の魔女が本気を出すとは、いやはや時間を掛けて良い事もあるとは……な!」

セイントが一定の距離まで離れ、フルンの様子を見る。
一方のフルンは胸元のブローチに触れ、静かに言葉を唱える。
ゆっくり、はっきりと唱えた言葉を終えた瞬間からは膨大な魔力が溢れ出していた。

「蒼き光よ、碧の魔導師の二つ名の元に真の光を解き放て。全てのモノを護れるように、大切な人の心を奪う愚者に天の鉄槌を与える為に…。
 全ては、慈愛と誠実…。双方の言葉のように強く、優しく、全てを包み込む光となる為に!!

解き放て! リミッター完全解除!!」


無数の蒼色の光がフルンの身体を包み込む。
光の一つ、一つが魔力の粒子でそれらは糧となり彼女の力となる。
魔力だけが膨大に溢れ出し、包み込んだ光が晴れた頃には…。

「……これが、碧の魔導師か」

碧の魔導師
魔導師の中でも最高峰とされる『紅』の一つ手前にして最強の称号。
その身を包み込む光は、気高き空と同等にして空を超えし者にして…。
全てを零に還す。


「……ブルー、モードチェンジ。モード、蒼天桜花」

戦う事を決意したフルンは宝玉を日本刀に変え、両手で添える。
武人の魂を持たない彼女が日本刀を扱うのは、ベルンカステルと別つ時に手に入れた技能故だ。
蒼い鍔を彼女の魔法を示し、桜色の柄は彼女の思いを現し、鈍色の刃は彼女の声色を表す。

「………」
「日本刀とは、な。近距離重視で来たか」
「じゃなきゃ貴方とは魔力勝負になるでしょう。純粋に戦うのであれば、近距離か遠距離か貴方ならば分かるはず」
「そうだな…。そうこなくては、つまらぬ。―――退屈凌ぎも、そろそろ止めにするか」
「……そうですね」

フルンは蒼天桜花を構えた状態でセイントの方を見る。
両手で鎌を添えるセイントはフルンとは違う構えを取った。
双方が居合いの構えを取り、暫し目を瞑った後に…。


二人、同時に刃を交えた。

刃先と刃先が触れ合い、火花を散らし合う。
セイントが間合いを狭める為、フルンの懐へ刃を斬り込もうとするが、その前にフルンが離脱する。
フルンはセイントの一瞬の隙に狙いを定めるが、鎌のリーチが長いからか未然に攻撃を防がれた。

「たあああああああああ!!」
「ッ!!」

叫び声と共に襲い掛かる刀の居合いの一撃を鎌で防ぐセイントは舌打ちをしては間合いを広くした。
狭めた距離感が一気に広がり、攻めの手段を切り替えなければならないフルンとセイントは双方共に武器を変えていく。
一瞬で宝玉の武器変換によって日本刀から長杖へと変えたフルンと、呪具を取り出したセイント。
詠唱破棄状態で出したプラネットバスターをセイントは防御魔法で防ぐ。
圧縮した魔砲と圧縮した盾は相討ちとなり、双方共に遠くへ飛ばされてた。

遠くへ飛ばされたことで有利と見たフルンは長杖とブローチの補助で一種の魔法を唱え始める。
杖とブローチが蒼色の光を放ち続け、杖は両手で添えている。
地面には魔方陣が浮かび上がり、その周りからは無数の魔法弾が浮かんでいた。

「……プロミネンス・ファイア!!」
「そんな下等魔術が我に通用すると思いか?!」

杖から放たれる灼熱の焔がセイントを瞬時に狙い放つが、一切当たらない。
セイントが動くままでもなく、避けられた焔は通り過ぎる。
にも関わらず、フルンは詠唱を続ける。

「灼熱の業火よ。全てを焼き尽くし、全てを薙ぎ払い、全てを焼き払え! 太陽系が一つ、太陽の加護の元に。
 全てを巻き込む、濁流よ。数多の穢れを持ってして全てを流し尽くせ! 太陽系が一つ、水星の加護の元に。
 万物を狂わせる黄金よ。今こそ狂い、その力を破滅の為に使い尽くせ! 太陽系が一つ、金星の加護の元に」

後続詠唱と魔術詠唱が二つ。
その双方を使いこなせる魔導師は数少ない。
普通を飛び越え、それでも魔女ではなく魔導師として居続ける。


己の心を痛めつけない様に、黒く穢された力で身を滅ぼさない様に!


「灼熱の如き、燃え盛る劫火は今此処に! プロミネンス・ファイア!!
 清流の如き、清浄なる濁流は今此処に! マーキュリー・ウォーター!!
 成金の如き、狂わせる黄金は今此処に! ヴィーナス・ゴルディオン!!」


杖から放たれる三つの魔法はセイントに向かって撃たれる。
灼熱の業火、清浄なる濁流、そして全てを狂わせし黄金。
それらは砲撃となり、また全てを飲み込んでいく。
加護を持つ者がある限り、止まる事のない魔法がセイントへ向けられて放っていた。


「こ、これは…。―――成程、まだその使い手がこの世に存在していたとは…。」

セイントはフルンの放つ魔法を避けながら、感嘆する。
今放たれた魔法全てが膨大な魔力と精神力によって形成される砲撃魔法である事をセイントは理解し、感動する。
使い手が彼女である事に対してではない。まだ、その使い手がいる事に対してだ。

「……我はてっきり、そなたの事を見くびっていたようだ。単なる近距離特化型砲撃魔導師…。そのタイプであったばかりにな。
 しかし本質は、――惑星魔導師 それも見た感じでは、太陽系だけの加護しか持ち合わしていないようだ。ならば!」

セイントは鎌に属性付与。即ち、エンチャントを施す。
施すと同時に漆黒の鎌の中心部にある青色の宝玉からは禍々しい光を放ち始め、やがて紅色の瞳が現れ始めた。

見ているだけで吐き気がする。正直の所、それを見たフルンは正直に思った。
こんなに吐き気がする魔力を直に感じたのは幾度もあるが、実際に戦って経験するのはこれが初めてだ。
甘ったるい毒に似たオーラがセイントを中心に渦を起こし始め、それがやがて宝玉に向けて集中していく。
離脱しなければ…。そう頭が考えを過ったが、撤退する訳にもいかない。
撤退とは敗北を意味し、敗北は二人の死を意味する。
肉体的な死ではなく、精神的な死でもなく、―――心の死。即ち、肉体も精神も朽ち果てずに心だけが果ててしまう。

(嫌です…。)

思い浮かぶは散ってしまった友の顔。

私を庇ってまで死ぬ事なんてなかったのに。
私を庇ってまで助けて欲しくなかったのに。
私を庇ってまで、……その身を投げ出して欲しくはなかった。

二度と同じ思いを繰り返すのは嫌だったから、新たな力が欲しかった。
剣でも杖でもなく、私自身に負担が大きくても良いから皆を護れる力が欲しい。
今度こそ……後悔しない為に!


フルンは杖を宝玉の形に戻し、今一度、集中する。
この場で対応する事が出来、尚且つ弟子たちを助けられる力。

(やるしか……ないですね)

フルンは覚悟を決め、宝玉に魔力を込める。
通常の数倍以上を宝玉に費やし、力を込めていく。
眼は閉じずに思考だけを閉ざして、心を空にし、思い浮かばせる。

「……何をするかと思いきや、惑星魔法を途中で辞めるとはな。愚かな魔女よ、フルンカステル」

禍々しい気配を一層強め、セイントの杖が光を増す。
光は真紅とも朱とも違う色を放ち、杖に向かい魔力の渦を巻き起こす。
渦が巻き起こった事で近くにあったカケラは雪のように散っていく。
禍々しい…。そういう事よりも相応しい言葉がある。

【狂喜】と【狂気】


そして、後一つは…。


「心、此処に在らず…。ですか」

セイントに聴こえない様、小さい声で言ったフルンは少しセイントに対し哀れみを抱いていた。
狂喜と狂気。その双方に囚われた彼女に救う術はあるかと聞かれたら五分五分だとフルンは言うだろう。
彼女は聖者じゃない、ましてや英雄ではない。単なる魔女だ、単なる航海者だ、単なる……魔導師に過ぎないのだ。

だから彼女に出来る事は唯一つ。


「……ブルー、モードチェンジ。―――クライシス、発動せよ」


この場を討ち抜く力を手にする事だけだった。
宝玉から蒼い光が強烈に放たれ、宝玉自体が器のみを残して力と呼ばれるモノが分裂され、形を変えていく。
それらは全て『剣』で統一されてはいるが中には日本刀がある為、正しく形成されているのは刃物と呼ばれているモノだった。
刃物たちは使用者の背後に携え、使用者の命令を待つ。

「同時発動! ブルー、モードチェンジ。サファイア、発動せよ」

フルンが言霊を込めて言うと、ブルーはそれに応じて瞬時にカタチを変える。
宝玉から杖へ、一度消したモノを二度蘇らせる姿はセイントにとって異質だった。


「くくくくく…。あっはははっは! 剣と杖の同時発動か! 面白い! 我の攻撃を受けて立つつもりだな、フルンカステル!」
「えぇ、私は貴方を討ち抜きます。ご安心を、蒼天桜花は二度も使いません。これが私の、最後の攻撃です。セイントさん」

覚悟を決めた両者は最後の一撃を放つ為に最大限の魔力を込める。
恐らくこれが御互いにとって、今此処で出せる最大限の最強魔法なのだろう。


「真紅の眼よ、真なる力を持ってして時空間の扉を切り開け!
 時間神 クロノスの加護の元に、全ての魔力を喰らい尽くせ!!」

セイントは呪具である【時空神の怨念(ゴッドスペース・グラッジェ)】の真名を解放し、本当の意味での時空魔法を発動した。
紅い眼は空間上に無数、方向関係なしに広がり…。
彼女の鎌だった魔具【聖なる沈黙の鎌(ホーリーサイレンスグレイブ)】からは純白色の輝きを放ち始める。


「【無限大数の時空間の扉(インフィニット・ヘブンズ・ゲート)】!!」


放った途端、紅い眼は強力な魔力吸い取り機と化し、フルンの魔力を根こそぎ奪い取ろうとする。
だがフルンも負けじと無数の砲撃魔法とブルーの第五形態である【セブンスソード・クライシス】で応戦していた。


「サファイア、モード プラネットに移行せよ」

フルンは持っていた杖が徐々に宝玉の数を増やし、やがては九つの星を基にした杖へと変わっていく。
それら全ては色が様々で大きさもまたバラバラだ。だが一つだけ言える事がある。

               
今から発動する術より格上は全て、フルート・ベルンカステルが大法院時代に創り上げてから、まだ一度も、術を使える術者が彼女以外いない術だ。



「星の光よ、惑星の光よ、全てを打ち砕く破滅の光と化し、そしてまた天日の灼熱と星雲の凍結の砲撃に打ち砕かれろ。
 水星、金星、地球、火星、木星、土星の太陽系惑星、天王星、海王星、冥王星の外宇宙惑星の加護の元に、今こそ永久なる光となれ!!」

惑星全ての光が杖から放たれ、それらが集えば虹色の光となる。
その中央に座するは純白ではない。―――青色だった。


「【永久なる惑星と地球の砲撃(エターナル・プラネット・アース・ブレイカー)】!!」


無数の砲撃と無数の剣。紅い眼による魔力吸収
その一つ、一つが一小隊を崩すには十分すぎる威力だ。

フルンが最も得意とする砲撃魔術。その中でも最強クラスの砲撃は正しく一つの小隊どころか国一つ破壊出来るクラスだ。
冗談などではない、文字通り国一つ。どんなに面積が広くても国一つは破壊出来る代物をフルンは手にしている。

対してセイントもまた強力な魔法を手にしている。
時間神 クロノス。惑星魔導師の加護が惑星自体ならばセイントが手にした加護は時間神の加護。
それも時間に関係しているのだから時間停止も可能な代物だ。


双方がぶつかり合い、辺り一帯が眩しい光に包まれ、その光が止んだ時…。
最初に声を出したのは…。















「……私の勝ちです。セイント・ジョセール・メイデント」




「あぁ、そして……我の負けだ。フルート・ベルンカステル」


宝剣 エンジェリック・クロスに持ち替え、セイントの腹部を切り裂いたフルンカステルだった。





「約束通り、あの二人は返させて頂きます」
「あぁ、そうすると良い。……最も我が見たかったのは、この蒼き輝きを放つそなたの本当の本気だったがな」
「……御冗談を。私の本気など貴方に見せる様な代物ではありません。最も必要な場に応じて私も切り替えてますから。
 私の本当の本気を引き摺り出したいならば弟子誘拐などでは無理です。―――貴方が、本当に【偉大なる絶対の神】を討ち下せたら、その時は出しますけど…。」
「我がアレを倒せと…? ふざけるのも程々にしろ、フルンカステル。第一、我が求めるのは【可能性の魔女】いや、今は【バアルの継承者】だ。
 そのようなモノに手を出すと、本気で思いか!?」

フルンは少しだけ間を置いてから言う。


「……貴方が、本当に魔女の深淵に至りたければ是が非でもやると私は思いますから。―――では、失敬」


フルンカステル…。
奇跡の魔女 ベルンカステルの姉にして、永遠の旅人という位を持つ者
その魔法は蒼き輝きを放ち、惑星の加護を持ってしてでも、元老院には上がれない。
何故なら、彼女は元老院に入りたくないからだ。例えどんな犠牲や代償や対価を支払われようとも…。



「本当に……厄介なモノよ」

吐いた溜息は砂のように流れて行き、後には戦いがあった事を示す、カケラの海が少しだけ罅割れを起こしていたのだった。




息切れが、激しい…。
限定解除を完全に解除し、尚且つ惑星魔法と六回に渡る武器変換、あの場で出せる最強の魔法。
それだけしか出していないはずなのに、こんなにも代償が大きいとは思わなかった。

「………少し、休まないと駄目、ですね」

自分が思った以上にあの魔法とクライシスの発動の代償は大きかった。
あの魔法は私が考えた中でも五本の指に入るクラスだ。発動時間を削る代わりに膨大な魔力と惑星の光を込めた魔法。
けれどアレでプラネット・バスター三発分に対し、クライシスはプラネット・バスター五発分だった。
そう考えると使いたくても安易に使えられないのが現状だ。

ともあれ、どっちみち暫くは休まなくちゃいけない。
今回はきっと、二月ぐらいになるけど…。それでもその間、何も出来ないのは辛い。

息を整えていると、ふいに人影が見えた。
一人はピンク色のドレス、もう一人は白い兵隊服を着ている。
あっ、あの二人は確か…。


「ラムダ…? それに46U3ですか?」
「全く、近くまで来て逢えばフラフラなんて…。フルンは無茶し過ぎよ!」
「同感やな。当分の間、無茶な魔力行使は控えて貰わないと…。」
「そうですね、そうするつもりでした。また箱舟を借りて良いですか?」
「良いも悪いも関係ないわ、マスターも承認済み。今はゆっくり羽休みせんと、知らんからな」
「……はい」









「結局の所、どうなのよ…。」
「どう、とは?」
「フルンは、あの子は後どれぐらいまで持つのよ」
「………単純計算で考えれば、ニンゲンの感覚で五年持てば良い方です。マスターが、無闇に斬り捨てない限りは持つと思います」
「斬り捨てないと信じたいわね…。まぁでも本人次第だろうけど」
「でもマスターは死なせないと言いました。
 今はどんなに輝きを放ち続ける蒼でも、いつかは朽ち果てる蒼となる。そうなってもマスターなら……死なせないと信じてるからな」








「……以上が、今回の戦いの全てです」
「御苦労だ、“太陽の魔女”。―――さて、我が巫女よ、どう思った」
「どうも思わないわよ、ただ…。あなたはどう思ったかしら?」
「……わたくしですか? そうですね、あれが国一つ崩壊レベルなら世界崩壊レベルがどれぐらいか予想出来ないですね」
「ふむ…。確かに、な。だが何となくは予想が付くと思うがな」
「世界一つ…。―――あっははははは、成程ね。納得したわ」
「……大気圏から灼熱魔法を何発も放つしか予想できないですね…。」


「スザクさん…。」
「な、なんですか…?」
「……アレが航海者同士の戦いなんですよね…?」
「そう、なっちゃいますね…。(汗)」
「いつかは、あーなっちゃうなのでしょうか…。」
「さあ、それは全て…。」



マスター
造物主次第でしょうね…。