うみねこのなく頃にEpisodeEX-Grief of goldenwitch-[

この物語は私のオリキャラが主役ですので、苦手な方はご注意ください。

数多あるカケラの一つ、六軒島へようこそ
小さな黄金の魔女共々、皆様には最期のゲームを楽しんでいただきたく存じます
ゲームマスターは漆黒の髪の魔女、このゲームの勝者は果たしてどちらになるのか

難易度はもはや計測不能、挑む、というよりもこの物語を最期まで観劇いただけるだけで私は満足です。

ー2XXX年 10月9日ー
新島の船着場にその団体はいた。
長年に渡り、敵対してきた二つの団体、それがよりによってここで顔合わせとなるとはどちらの陣営もわかっていなかったであろう

ベルン「一発触発とはこのことね」
黒猫姿のベルンが隣にいる朱裡に問いかける

朱裡「はい、そして、もう一つ共通点が・・・」
ベルン「片翼の鷲の描かれた封筒と手紙、内容はどちらも同じモノ、だったわね」
朱裡「宛名が違うだけでほぼ全て同じでした。そして、島へ向かった人数は」
ベルン「16人、ね」
朱裡「そうです、それが一番最初、ハジマリの物語です。」
ベルン「次に行くわよ」

次のシーンは大荒れの海の中、今にも転覆しそうな船の上空で二人はそれを眺めるようにして見る

ベルン「六軒島に向かう途中で嵐に見舞われる・・・普通はあり得ないわね」
朱裡「それを言われても困りますけども・・・とにかく、気がついたときには六軒島の海岸でした。」
ベルン「帰るべき船を失った、だからこそ六軒島が台風でなくとも貴方達は逃げ出せなかった。というわけね」
朱裡「そうですね、いえ。本当なら一人か二人でも体力に自信があってそれで新島まで行き、船を出せたのかもしれませんが、今ではもはや猫箱の中です。」
ベルン「次のシーン、いえ少し飛ばすわよ。一気に第一の晩まで!!」

<第一の晩>
客間でそれぞれの人々が嘆き、悲しんでいた
一斉に奪われた6人の命にそれぞれの理由があり、悲しむのは当然である。

ベルン「状況確認よ。死んだのは6人。一人はボイラー室で黒コゲ死体、一人はベアトリーチェの肖像画近くで、もう一人は玄関ホールで、一人は客室の中、もう一人は客室の窓の下、最期の一人は薔薇庭園
凶器はいずれも心臓に達した杭のみ」
朱裡「・・・はい、いずれもその通りです。」
ベルン「この後は、そうね。アンタが碑文を解いて魔女になるのだったかしら」
朱裡「その通りです、ですが・・・貴女がしたいことはそれではないでしょう?」
ベルン「当たり前ね。私がするのは魔女の腹を裂いて愛でることのみ!!
さァ!一気に行くわよ!?」

<第二の晩>
事件は再び薔薇庭園
二つの骸が晒される、一つは薔薇庭園近くの木で、一つは薔薇庭園近くの東屋で
雨のない六軒島で、血の雨が止まない。

ベルン「この二つの死体はいずれも銃で殺された。犯行は夜の8時から9時の間!
発見されたのは夜の9時半。第一発見者はそれまでゲストハウスで複数人と共におり、犯行は不可能であった!
そして、被害者の二人が外に出たのは7時半。ゲストハウスから屋敷へ忘れものをしたと二人で出て行った
もちろん、被害者は知り合い同士で仲が悪かったことはなく、また二人は同時に殺された!!」
朱裡「・・・・・・そうですね、補則としては。二人はゲストハウスを出てから一緒に行動してはいないということでしょうか」

<第四・五・六の晩>
三つの死体は鍵の開いている礼拝堂で見つかった。
だが、三人は死の直前にゲストハウスにおり、それぞれ二階と手洗い場に向かっただけであった。

ベルン「凶器は一人が胸に刺さった杭、残り二人は銃で額を撃たれていたわ。
当然ながら、儀式として残りの二人は杭で頭と腹を抉られていた。ちなみに頭を抉られた方の死因が銃であることは礼拝堂に二つ、空となった弾が落ちていたから」
朱裡「しかしながら、死の直前、三人はなにやら揉め事をしていたようでした、そのことで外に行ったとも考えられます。」

<第七・八の晩>
二つの死体は再び屋敷、それぞれ最初にあった死体とは離れてあった。
魔女の蘇る、最期の鍵はこの二つ・・・・

ベルン「死因は一人が絞殺、一人が刺殺、だけど凶器は見つからなかった。
そもそも、それまで生き残っていた人間はゲストハウスから屋敷へと移動をし、移動の間に口論で一人が怪我をしてもう一人が手当てをしていた。」
朱裡「・・・その人を怪我させたのは私が原因です。といっても弾がその人の脚を貫いてしまったのが原因でした
ですが、血が止まらないので、一旦別々に行動することになったのです。」

ベルン「・・・あとは、第九の晩、アンタが最期のもう一人を射殺して終わり、ね」
朱裡「はい・・・私が知っているのはそれ以上です。」

それでもベルンカステルの表情は晴れない、それどころかまだ不満があるというように不機嫌な表情であった
ギロリと朱裡を睨みつけるとフンとそっぽを向く

ベルン「それが真実なら、なんでアンタから魔女の心臓が出ないのかしらね?」
朱裡「そ、そんな・・・私はこれ以上は・・・!!」

知らないと言ってもベルンは聞く耳をもたない、それどころか手に死神の鎌を持って彼女に迫る。

ベルン「ああ、メンドクサイ。アンタの謎かけに付き合ったのが馬鹿だったわ。そんなことしないでさっさとアンタごと裂いてしまえばよかったのに」
朱裡「ちがっ・・・聞いてください!私は・・・」

ホントウニ ソウ ナノ ・・・・・?

朱裡「!?」

ふいに誰かに問いかけられたのに驚き、身を震わせる朱裡

ベルン「じゃあ、永遠にさようなら。シュリ・ベアトリーチェとその中身。ちょっと骨のある暇つぶしかと思ったけどがっかりね」

そして、ゆっくりと死神の鎌が振り下ろされる

朱裡「(死ぬ・・・・?私が・・・?これで、やっと皆のトコロに行けるの・・・?)」

走馬灯のようにゆっくりとした時間で彼女は全てを振り返る。

朱裡「(私は、守りたい人を守れなかった・・・・だから、せめて残された人を救いたいから碑文に挑んだ、でも、そのせいで・・・)」

チガウ アナタ ノ ネガイ ハ

朱裡「(誰・・・?私を呼ぶのは・・・・)」


<hr>
気がつくと朱裡は真っ白な空間にいた

朱裡「ここは・・・・」
シュリ「一秒前の白、アンタの心理的空間とでも呼んだ方が正しいわね」
朱裡「シュリ・・・貴女は」
シュリ「スザクがせっかく身体を張って教えようとしてくれていたのにそれも無駄みたいね?朱裡?」
朱裡「そんな、だって事実じゃない・・・私が、皆を殺したのよ」
シュリ「いいえ、違うわ」

やけにきっぱりとそしてはっきりと言う半身に朱裡は驚きを隠せない

朱裡「だ、だって・・・それじゃあアレは、私の手に残る生暖かい血の感触は?体に残る銃創の臭いはなんだというの!!?」
シュリ「それは私から言うことではないわ。だけれど、貴女が忘れてしまっていることこそが貴女が私であり、私が貴女である理由なのよ」
朱裡「私が忘れているって何!?私は真実を話したわ!!なのに信じてもらえなかった!!」
シュリ「それが真実でないからよ。・・・そうね、私が言えることは【人は簡単に自分の記憶を摩り替えることができるのよ】それが良い意味でも悪い意味でもね」
朱裡「私が、自分の記憶を摩り替えている?なんのために!?」
シュリ「それが、真実だからよ。いえ、未来に真実を残さないために貴女自身が選んだことだわ」
朱裡「貴女が何を言っているのか全然わからないわ!!」
シュリ「そうね、今の貴女にはわからない。それを隠しているのが私、シュリ・ベアトリーチェだから
だけど、貴女に今一時的にそれを返すわ。いらっしゃい。加宮朱裡、そしてようこそ、猫箱の中身へ」

<hr>
体が・・・重かった。
焼け付くような痛みだった、そして、口からは声の変わりに生暖かい血が吹き出した。

朱裡「ゲホッ」

気がつくとそこは黄金部屋の中だった
そして、何かを叩く音。

ガンッ グシャ ガンッ グシャ ガンッ グシャッ

奇妙な音だな、と思った。
だってまるで動物か何かの肉体を甚振っているような・・・・
身体は動かないけれど視線を音のする方へした

そして、それが目に飛び込んできたとき私は心の中で悲鳴をあげる・・・・

黄金部屋にいた、私の仲間達は既に体中をありえない方向にひしゃげられ、顔が潰れ、着ていた服さえも赤黒く染まった血で誰だかわからないほどになっていた。
そして、今まさに・・・私の足元でソイツが殺人劇を繰り返していたのだ
私とソイツを除く、16人を殺した殺人者、そしてソイツは目の前の肉の塊に満足すると振り返る
そして生き残り同士の目が合う

朱裡「(う・・・そ・・・そんな、こんなのって・・・)」

私はソイツの顔を見て驚く、だってあり得ない
本当に、そんなことはあり得ないはずなのだ・・・・
だけれども死神はもう既に私に鎌の刃を私の首筋に当て、微笑んでいる
死という深遠の闇に、私を引きずり込むために

「死にたくない・・・・」

そう、思った





・・・・・ああ、そうだ。
そう、だったのだ・・・・

魔女は人の心の弱き部分に生まれる。
それは悲しみ、絶望・・・なんでもいい、その時に現れるのだ
だから、本当に彼女が生まれたのは・・・・

<hr>
ベルンが鎌を振り下ろす、それで終わりのはずだった。
だが、鎌は最期まで振り下ろされず、槍にジャマをされる。

ベルン「・・・チッ、ようやくお目覚めってトコロかしら。シュリ・ベアトリーチェ!!」
シュリ「たまには観劇から降りてバトルするってのも乙じゃないですか?ベルンカステル卿」

ギィンッ
槍と鎌の二つの武器が音を立てて互いに離れる。
そして魔女はニンゲンに語る。

シュリ「やぁっと思い出してくれたかしら?朱裡。私の半身」
朱裡「ええ、思い出したわ。貴女は私の【生きたいと願う意思の塊から生まれた幻想】あるいは【私の世界の猫箱の蓋】
だから、私が片方しか思い出さなくても、貴女が消えることはない。そして・・・」
シュリ「アンタが認めたとき、私は存在を完全なる魔女として昇華する!!」
朱裡「ええ、だから誓うわ。私は、貴女を・・・」
ベルン「させるかぁぁぁ!!!」

鎌を薙ぎ払うベルンカステル
だが、その前に魔法壁が出現する。

453「観客であるならこの場面を逃していただきたくありませんね。」
ベルン「ゲロカス家具が、邪魔よ!!こんな盾なんか」

ギィンッ
ベルンカステルの鎌は魔法壁の弾かれる

ベルン「わ、私は元老院の魔女よ!こんな家具どもの魔法壁なんか・・・」
321「生憎ですけど。少し時間稼ぎできれば充分なんです」
946「それに、よく観察いただければ理由が解るはずですけれど、クスクスクス」
ベルン「な・・・に・・・こなくそぉ!!」

何度鎌を打ち付けても魔法壁が破れる気配はない
力任せにしても・・・壊れない・・・?

ベルン「そこを、どけえええええ!!」

もう一度魔法壁に鎌をぶつける、その時
もう一人の影がスッと鎌の柄を持つことで制止させた

ラムダ「あーあ、ベルンったらムキになっちゃってかーわいい」
ベルン「ラ・・・ムダ、アンタねぇ・・・」
ラムダ「いつもの冷静なベルンらしくないわよぉ。それによく見て見なさいな、あの魔法壁
何十にも重なってるでしょぉ?」
ベルン「・・・・・ん」

ラムダの言うとおり、良く見てみるとそれは魔法壁が何十にも重なっている
それでは確かに一撃だけでは割れそうにもないほど強固な盾になっている

ベルン「・・・・そうね、ラムダの言うとおりだわ。」
ラムダ「だからぁ、破る時にはこうしないと・・・ね!!」

ラムダデルタが魔法壁に向けて指を向けた瞬間
小さな線のようなものが重なっていた魔法壁を一瞬にして吹き飛ばした
守っていた守護神のシエスタもろとも・・・
悲鳴すら、聞えないまま、依り代のガラスのウサギが3体、砕け散って転がった

ラムダ「悪いけど、ハッピーエンドの手前は終わりよ。このカケラはもう終わりにするの
だって、そろそろ幸せなのはお腹いっぱいになってきちゃったしぃ?」
ベルン「そうね、そろそろ終わらせましょう。ラムダデルタ、今度こそ本当に最高のバッドエンドを・・・」

にたぁ、と笑みを浮かべる二人の卿の魔女
その上空に暗雲が立ち込めるとそれは降りてきた。

セイント「アンハッピーを届けに来たぞぉぉぉ、我が茶葉よぉぉぉ、くっひひひひぁはははァッ!!」
ベルン「あら、アンタも来たの?・・・その半身だけで」
セイント「うむ、うっかり半身を消されてしまった。だがしばらく休めば問題なかろう」

さらりというセイントに卿の二人はクスクスと笑う、今や半身しかない幼女姿のそれは消えかかった部分が煙があがっているようにしか見えない

シュリ「ほんと、アンハッピーってのはこのことね。」

ため息をつく魔女、そしてその半身
だが諦めてはいない、その瞳には諦めの色は、存在しなかった。

朱裡「シュリ、お願いよ。私は貴女を認める、その代わりに・・・・」
シュリ「わかってる、私達は消えないわ。それが、スザクの願いだから」
朱裡「・・・ええ、頼んだわ。」

そうして黄金の魔女は槍を上空に向けて宣言する

シュリ「我が名はシュリ・ベアトリーチェ!黄金と無限の称号を持つ魔女にして猫箱の蓋の役目を持つモノ!!
アンタ達の楽しむ結末になんてさせないわ!!」