うみねこのなく頃にEpisodeEX-Grief of goldenwitch-Z


この物語は私のオリキャラが主役ですので、苦手な方はご注意ください。

数多あるカケラの一つ、六軒島へようこそ
小さな黄金の魔女共々、皆様には最期のゲームを楽しんでいただきたく存じます
ゲームマスターは漆黒の髪の魔女、このゲームの勝者は果たしてどちらになるのか

難易度はもはや計測不能、挑む、というよりもこの物語を最期まで観劇いただけるだけで私は満足です。


ー歪なカケラ内ー
理御とシエスタ332はそのカケラの中にいた
しかし、彼等の降り立った場所は濃霧に包まれていたのだった

理御「こ・・・これは、どういうことでしょうか」
332「どうもこうもあらへん。対侵入者用の最終防壁とでも言うもんやろうな」
理御「濃霧で足止め・・・ということですか」
332「まー、一応正解やろうな。ただこういうので厄介なんは」

そう言いながら332は黄金の弓を霧の向こう側を目掛けて放った・・・はずだった
しかし、黄金の弓は曲線を描きながら濃霧の向こうへと消えていくだけであった

理御「今のは・・・・」
332「この霧は魔術的なものは全て飲み込むようになっとるみたいやな」
理御「つまり・・・力付くでは通れない、と・・・」
332「せや。シンプルかつ外側からのぶち壊しは面倒なモンやて」
7913「その通りよ。そしてここはアンタ達の墓場となる場所」

霧の中より二人の目の前に姿を現す7913

332「7913・・・言うたか。女の子に追いかけられるの嫌いやないけどなぁ」

冗談なのかそうでないのか頬を掻きながら332は余裕のような表情をとる
対する、7913はそれに動揺することなく二人を見つめながらいて

7913「警告だ、これ以上このカケラに関わるな。
我等、シエスタ七姉妹に下された命は【このカケラを守れ】とのことだけだ
それ以上はなにも言われてはいない、このカケラに関わることさえなければ」

332「・・・断る。俺も大事な主人が囚われとんのや、それを取り戻す以外の道は決めてない」
7913「・・・ならば仕方ない。」

7913の手に黄金の弓が出現する
それを見るや否や、332は理御の腕を掴むと濃い霧の中へと一目散に逃げ出した。
状況が読めなかった理御は驚きの声を上げる

理御「ちょっ・・・332・・・さんっ!?」
332「なるべく距離をとれば黄金弓は霧に阻まれて狙うことができへんはずや!
とにかく今は走れ!!」
理御「わ、わかりま・・・・?」

了解の意を示そうとしたがその後方より白い光が見えた気がした理御は思わずそれを凝視しようとした

332「!伏せろ!!」

332と一緒にスライディングの容量で地面に伏せる理御
その頭上を黄金の蛇が通り抜けていった

理御「そ、そんな・・・今のは!」
332「どうやら、この空間で攻撃できるのは対象がいる場合みたいだな
しょうがねぇ。職務放棄したみたいに思われるのは癪だが、理御はん。あんさんはこの先に行け
どこに繋がってるかも俺には想像できないがそれでも攻撃される確率は少なくなるはずだ」
理御「で、ですが・・・・」
332「後でちゃんと行くさかい。ちょっと待っとてぇな」
理御「わ、わかりました・・・では後ほど」

戸惑いながらも再び霧の中に姿を消した理御の姿を見送ると332も黄金の弓を構える

332「コードタイプ、00332!幻想を打ち返してやらぁ!!」
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朱裡「嫌・・・ですっ!!」

その頃の朱裡はスザクから逃げていた。
彼との再会が嬉しくないのではない、ただ・・・彼の手にあるソレが怖かったからだ
槍を手に持ちながら近づいてくる彼に、いくら知り合いであっても恐怖を感じての行動であった

スザク「どうして逃げるんだ?別にこれで君を殺そうというわけじゃない
死ぬのは君の中に逃げ込んだ魔女だけだ」
朱裡「そ、そんなこと言われても、死んじゃいますっ!その槍で心臓なんか突かれたら死んじゃうに決まってるじゃないですか!!」

半狂乱になりながら叫ぶ朱裡にスザクは困ったような表情をする。
そして、手をポンと打って

スザク「なら、赤字で宣言すればわかるだろ?
俺は加宮朱裡を殺すことはしないどうだ?これなら信じて・・・」

その刹那、彼の頬に鋭い衝撃と遅れて痛みが来た。
朱裡が・・・その頬に平手打ちを食らわせたのだった

スザク「朱裡・・・はん?」

訳がわからないというように瞬きをさせるスザクとその目の前で唇を噛み締めながら涙を零す朱裡

スザク「しゅ・・・・」
朱裡「どうしてそうなるんですか!!」

戸惑うスザクを余所に朱裡は止まらない涙を隠すように俯きながら掌で必死に掌で涙を拭う

朱裡「わ、私が知っている朱雀さんはっ・・・ちょっぴり天然でお馬鹿なところもあるけど・・・
でも、仲間のことを怖がらせるような・・・仲間のことを心配させるようなヒトじゃないですっ
何故、こうも変わってしまったんですか・・・?私の知る朱雀さんは何処へ行ってしまったんですか・・・・?
どうして、私がこんなわけのわからない世界に、いなきゃならないんですか・・・!!?」

スザク「朱裡・・・はん・・・・」

壊れモノのようにスザクは恐る恐る、けれど優しく朱裡を抱きしめる。

ベルン「何時までも抱きついてるんじゃないわよ、このゲロカスカップルが」

ふと声がしたと思えばいつの間にかベルンカステルが二人の背後にいた

スザク「これはこれは・・・後継者様。嫌ですなぁ、デバガメですかい?」
ベルン「誰がアンタのいちゃいちゃしてるところを見なきゃならないのよ。それより、さっさとその女を刺してこのゲームに終止符を打ちなさいよ
それとも何?アンタまさか、自分の使命を忘れてずっとこのゲロカスの世界にいるつもりだったの?」
スザク「・・・そんなつもりは・・・・」
朱裡「どういうことですか、それは・・・」
ベルン「ああ、アンタは知らないのだったわね、加宮朱裡。アンタがラムダに推薦されて魔女になったように
朱雀は私が推薦して魔術師になった。けど、その称号は元々【黄金と無限】だった。」
朱裡「何が・・・言いたいのかわかりません」

混乱している朱裡に対してベルンカステルはにやぁ、と笑みを向ける。

ベルン「ねぇ。エンジェ・ベアトリーチェがEP4でどうなったか、知ってるぅ?」
朱裡「えっ?何を・・・」

カケラを渡れない彼女は知らない、だけどもその先を促してはいけないようなそんな予感はしていた。
だが、残酷たる奇跡の魔女はその先を告げる。

ベルン「エンジェがちょうどいい挽肉のハンバーグになったように。そこにいるスザクもまた挽肉になったのよねぇえええ」
スザク「やめろ!!」

ベルンがカケラを取り出す寸前に、スザクは手に持った槍をベルンに向ける。

ベルン「なぁに?駒が主人に刃向かうつもり・・・?」
スザク「仲間を傷つける行為をするヤツに、この俺が従う訳ないだろ」
ベルン「それならさっさと自分の仕事を片付けなさい。それで私との契約は本当に終了、アンタは自由になれるわ」
スザク「・・・・そうだな、終わらせよう、この茶番を」

ベルンに向けていた槍を手元に戻すとスザクは朱裡の方を向く、そして・・・・・

その槍が、肉を刺す音が、響き渡った。


7913と332の戦いは激化していた。
お互いにシエスタ同士、それぞれの弓は弾きながらの中距離、または遠距離を繰り返しながらの戦いである
そして、幾度かの弓同士がぶつかりあい、消滅するのを目の当たりにし、332はため息をつく

332「やっぱ互角やなぁ。シエスタ同士戦っても決着はつかへんこっちゃ」
7913「戯言を言うな、私には負けられない理由がある、どうしても負けられない理由が・・・」
332「・・・シエスタ7914のことかいな?」
7913「私の妹を、知っているのか・・・」
332「俺は直接会う(おう)たことはないけどな。207だけ会ったと聞いた、可能性の称号を持つ元、武具の魔女だと」
7913「私達が煉獄の七姉妹を複製された駒であることは、わかるか」
332「あんさんらの姿を見ればわかるな。そして欠番が煉獄の七姉妹の4番目、つまりは怠惰のベルフェゴールだということも」
7913「私達の物語を、観劇したことはあるか」
332「ないな、けど・・・口伝えで聞いたことはある。全てではないかもしれないが、一部ぐらいはな」
7913「私達の物語のことはまぁ置いておく。・・・しかし、私達は駒だ、その物語の記憶を引き継いでいるにすぎない。そんな時、あの魔女に出会ってしまった」
332「・・・セイント卿、か」
7913「説明が省けるな、ヤツは私達に言った。『別の魔術師に仕えろと、そして全力で守れとそうでなければ・・・・』」
332「7914がどうなってしまうか、わかるだろうと・・・?」
7913「最初は私達は怪しいあの魔女に向かって攻撃をした、しかし見事に返り討ちだった。
相手の力量を見た瞬間、震えが止まらなかった、妹を守りたい・・・あの子は強くても私の、私達の姉妹の一人なんだ、だから・・・守らなくちゃいけないと思って」
332「趣味の悪い魔女もいたものだ・・・いや、普通の魔女はそういうもんか
ああ、うちのマスターはツンデレっ子やでそんなことないけどな」
7913「お前、自分の主人が好きなのか?」
332「んー、どうなんやろうな。どんなことしても守りたいとは思うけど、これが好きとかいう感情かは俺にはわからん。
武具に浮ついた心は必要ないしな」

その次の瞬間、凄まじい轟音と共に霧がうっすらと晴れていくのであった

7913「な・・・今のは」
332「どうやら、この擬似黄金郷が壊れる音みたいやな。巻き込まれたくなかったらさっさと脱出しておいたほうが身のためやで」
7913「う、嘘だ!!あの魔術師には魔力を封じる武器が・・・」
332「ま、おおかた自滅ってとこやろうな。アイツらしいって言えばそうかもしれへんけど。
ああ、さっき聞かされたセイント卿との契約は多分無効やないかな〜。あっちもまさか自滅されるとは思っておらんかったやろうし」
7913「た、たしかに言われてはないないけども・・・」
332「そんならその他の姉妹らにもちゃんと伝えたってーや。それで外の戦い終わるやろうし」
7913「お前は・・・右代宮理御を探しにいくのか・・・?」
332「まーな、あといい加減にマスターにも帰ってきてもらわんと困るしな。ほな、またどっかで会いまひょ」

そう言って332はスタスタとその場を去っていった。

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ベルン「・・・やってくれたわね。たしかにこれで契約は終わり・・・いえ、無効となるけれど」

そういって苦々しい顔をするベルンカステル、その前には、朱裡を庇うように手を広げるスザク
しかし、既に彼の身体は半透明になり、その存在が消えることを現していた。
その胸元に魔力を奪う自らの武器を刺しながら

スザク「ザマァ・・・みやがれってんだ。これでいいだろうよ、観劇の魔女どもよ
ハッピーエンドで物足りないのならこれで微笑んでやがれ、だがな・・・俺はこの物語の主人公は殺さない
主人公が死んでのバッドエンドなぞさせてやるものか、これが、俺の・・・スザク・ベアトリーチェの最期のふんばりどころだ」
朱裡「そんな・・・嫌、です。スザクさん・・・」
スザク「堪忍やで、朱裡はん。俺は元々この世界に来たのはアンタに会いたかった一心や、それ以上も以下もあらへん
・・・もっとも、他の眷属達の魔力を奪ってでも永遠に一緒におれたら、って思ったのも事実やけどな」
朱裡「そん・・なの、言ってくれなきゃ。わからないじゃないですか・・・人は、ニンゲンは・・・言葉を介さないと他人の心なんて理解できないんですよ・・・?」
スザク「せやなァ、そうやけど俺も、悔やんでいたんだ。あの世界で、俺も共に行けたらきっと誰も死ななかった
せめて、朱裡はんだけでも救えたかもしれない、ってその後悔の念から生まれたのが俺、スザク・ベアトリーチェや」
朱裡「わ、私はっ・・・そんなことしてもらう資格なんてありません。あの島で私は17人を殺しました!!
だから・・・・私はっ・・・!!」
スザク「それは違う」

その言葉にビクッとする朱裡
まるで聞いてはいけないことを聞いたかのように
しかし、スザクは続ける、それが自分の最期の言葉になるのは理解していながらもそれを続けた

スザク「よぉく、思い出してな。朱裡はん。アンタはあの日なにがあったか知ってるはずや
あの日の六軒島の真実を、そして・・・魔女としてのアンタが生まれた、本当の・・・理由・・・を」

そこまで告げると、スザクの身体は黄金の砂粒となって、世界から消えた
刺さっていた槍を形見のように残して

ベルン「・・・・夢幻の魔術師、その称号の通りに夢の幻となって消える
それを選んだということね。・・・ああ、非常につまらないわ。本当にゲロカスよ」
朱裡「・・・・それは、違います。スザクさんは、私の・・・大切な・・・」
ベルン「ああ、それ以上いわなくて結構よ。本当に歯が浮くくらい気持ち悪いもの
それより、ちゃんとアンタの真実を明かしてからゲームに戻りましょうか」
朱裡「ゲーム・・・・?それはもう終わったのでは・・・」
ベルン「まだでしょう?アンタの中のシュリは死んでない。まさか私が幻想を打ち負かすだけで終わる甘い魔女だと思っているんじゃないでしょうね」
朱裡「・・・・わか、りました。真実を、お話しましょう。それはシュリ・ベアトリーチェの心臓を明かすものであったとしても」

続く