うみねこのなく頃にEpisodeEX-Grief of goldenwitch-Y

この物語は私のオリキャラが主役ですので、苦手な方はご注意ください。

数多あるカケラの一つ、六軒島へようこそ
小さな黄金の魔女共々、皆様には最期のゲームを楽しんでいただきたく存じます
ゲームマスターは漆黒の髪の魔女、このゲームの勝者は果たしてどちらになるのか

難易度はもはや計測不能、挑む、というよりもこの物語を最期まで観劇いただけるだけで私は満足です。


いつもと変わらぬ今日があり、いつもと変わらない明日がある
それは永遠に変わらないものであると・・・信じて疑いはしなかった。
そう、あの日までは・・・・

<独白>
ちょっとした休暇だった。
今まではいろんなことがあって、空気が張り詰めすぎていたから
だから、ちょっとした休息だったはずなんだ

朱雀「しゅ、朱裡はん!!」
朱裡「はい?どうかしましたか。朱雀さん」

気の良い仲間だった
それ以上に、好きになっていたのかもしれなかった・・・

朱雀「帰ってきたら、話したいことがあるんやねんけど。ええやろか?」
朱裡「・・・わかりました。帰ってきたら聞きますね」

いつもと変わらない日常、それが突然無いことになるだなんて、知らなかった・・・
彼女は帰ってきた、だけど・・・返事を聞くことができないまま、ただただ眠り続けるだけの、そんな彼女になってしまった

彼女の笑顔も、声も・・・既に失われてしまったと言っても過言ではないのだろう
だから・・・・

ベルン「貴方に復讐のチャンスを、そして、仲間を取り戻すことのできる可能性をあげるわ」

だから、あの黒髪の魔女と契約した・・・・それが、二度と戻れない、奈落の契約だったとしても

<hr>
ベルン「ということで、ウィラードに理御。この前できなかった続きを始めましょうか」
ウィル「チッ・・・相変わらず悪趣味な魔女様だこった」
理御「こ、こんな終わり方がゲームにあっていいはずがありません!そもそもゲームにすらなってはいないではないですか!!」
ベルン「このゲームのマスターは私よ?終わり方などいくらでも決めることができるわ
今回はたまたま対戦相手がポシャッてゲームオーバーになっただけの話・・・」
クレル「いいえ、これはゲームに対する冒涜です。」

それまで黙っていたクレル・・・否。時間の魔女が口を挟む

ベルン「じゃあ何?今度はアンタが相手をしてくれる?クレル・・・いいえ、もう一人のセイント・ジョスール・メイデント」
クレル「・・・・そこまでお見通し、いえ・・・もう一人の私による策略ですか」

そういうとクレルであったその姿は歪むと神々しいほどの光に包まれてその姿を変貌させる
白銀の長髪はドレスの腰の下まで伸び、シルクを思わせるような生地を使ってるような純白のドレス
手には金色で双頭の鴉の杖。蒼の瞳は憂いに満ちる。

セイント「ようやく若作りの身体から抜け出したのぅ、我が半身」

それを見て、バルコニーからもう一人のセイントがニヤニヤと笑みを浮かべる
対抗のつもりか、彼女の姿は幼女から黒いドレスの女性の姿へ変貌していた
そして、手には銀の双頭の鴉の杖・・・・

セイント「私よ、何故貴女は私が下した『カケラの魔女を見守る』という命を無視したのでしょうか?」
セイント『そなたからの命というのが気に食わぬの一点以外になんの理由があるというのか』
セイント「私よ、貴女は私でありながら彼女の運命を捻じ曲げることは許されざるべきであると知りながら何故そうするのですか?」
セイント『ただ見守るだけではつまらぬのでな。クッククク、現に面白いものを見せてもらったぞ』
セイント「・・・私よ、それは私に対する宣戦布告でしょうか?」
セイント『何を今更確認することがあるのか。もう既に感づいているくせに』
セイント「わかりました。そして幼き奇跡の魔女よ、貴女も私の敵対することを望むのであれば、私は貴方達を同時に相手にしましょう」
ベルン「アンタは私の玩具じゃないわ。そっちの逃亡の旅人二人が私の相手だもの」
セイント「いいえ、彼らは私の庇護下にあります。手を出すというのなら先に私を倒してから進みなさい」
ベルン「そう、なら二人同時にどこまで渡り合えるか試してみなさいよ!!」

そうして三つの影は空中へと浮かぶと激しくぶつかり合う
その刹那、下で見上げていた二人の耳に声が聞える。
先ほどのクレルであった方のセイントである。

セイント『ウィラード卿。そして理御さん・・・貴方達は彼女を追いかけてください、そして、これを・・・』

その言葉と共に小さな光と共に空中から降りてきたソレはガラスでできた6体のウサギの小さな人形
そして、小さな小さな・・・ガラスの欠片であった。

理御「これは・・・・、あの眷属達ですか?」
セイント『ええ、彼女達のいる世界に入るのに護衛は不可欠でしょうから』
ウィル「だが、コイツ等の主は俺らじゃねぇ」
セイント『それについては問題ありません。それに主を奪われては彼等の憤りも納まらないでしょう』
理御「わかりました。では、貴女も気をつけてください」

セイント『はい、貴女達にも幸運がありますように』

そして、理御とウィルが去った後、その場では大きな爆発が起きた

<hr>
朱裡「っ・・・・ここは・・・?」

気が付くと朱裡は見知らぬ場所・・・否、真っ白な空間にいた

朱裡「私・・・、そうだ、古戸さんが時限爆弾を!!」

直前までの記憶を思い出し、慌てて突っ伏した状態から立ち上がる

スザク「古戸ヱリカはここにはいない・・・」
朱裡「えっ・・・・?」

突然の声に驚いて後ろを振り返るそこにいたのは、よく知る顔
そして、この世界に来て二度目となる人物

朱裡「え・・・っと、シエスタ332・・・さん?」

今度は間違えないと思っていたそれは相手のため息によって否定された

スザク「違う、俺はスザク・ベアトリーチェ。・・・夢幻の魔術師だ。」
朱裡「えっ・・・?あ・・・、ごめんなさい」

混乱する頭でなんとか状況と把握しようとする朱裡
すると相手の姿は陽炎のように消えると一瞬にして朱裡の正面までやってくる

朱裡「あ・・・あの・・・」
スザク「やっと、会えた。加宮朱裡はん・・・・」

そういうと手に持っていた漆黒の槍をその空間の上の方向に向けて放つ
それは空中で突然爆ぜると黄金の蝶の乱舞となり、白一色だったのが草原になる
頭上は青空、そして風が吹くそれは・・・

朱裡「ここは・・・私達の・・・」
スザク「そう、ここは俺達だけの世界・・・だ」

<hr>
その頃、理御とウィルはあるカケラの傍までやってきていた

理御「あれが・・・・そうなのでしょうか」
ウィル「だろうな。しかし、他のカケラよりも歪な姿をしてやがる」

二人の目の前にあるそのカケラは周りにあるカケラよりも形が歪・・・
それよりも時折蠢いてはその形を変えていく
まるでまだそのカケラとして紡ぐ物語が始まってもいないような

理御「と、とにかくいきま・・・」
ウィル「っ、伏せろ!理御ッ!!」

そのカケラに近づこうとした瞬間にウィルが理御の頭を抑えてしゃがませる

理御「何をするんですか!ウィ・・・」

突然のことに驚いた理御が反論しようとすると自身の頭上を金色の蛇が
そして、隣にいたウィルのわき腹を直線できた黄金の蛇が貫いた。

ウィル「ぐ・・・ぉ・・・」
理御「ウィル!!今のは・・・」

倒れかけたウィルを支えた理御は自身達のいる場所より上空に六つの影を見る

???「何をやってるの!お前達!!ウィラード卿には当たったけど理御には当たってないじゃない!!」
???「目標補則したのはお姉さまじゃないですかぁ。私達のせいにされても困りますぅ」
???「きゃははっ、やっぱりお姉さまはこういうの向いてないんじゃないですかぁ?」
???「う、煩いわよ!さっさと第二波発射させなさい!!」
???「「「「「はァい、お姉さま」」」」」

今度は五つの黄金の蛇が曲線を描きながら飛んでくる
ダメかと目を閉じた理御の前で、それらは弾かれた。

453「戦闘最中に目を閉じるのは自身の死亡率を上げるだけです。・・・同時に助かるフラグも引き上げる訳ですけども」

いつのまに具現化していたのか453達・・・シエスタ近衛兵全員が理御とウィルを守っていた

理御「あ・・・ありがとうございますッ」
319「我々は礼を言われるモノではありません。それよりも、あの上空にいるのが相手でよろしいですか?」
理御「た・・・多分。そうかと、あの人達は一体・・・」
321「このカケラの守護者ということでしょうね、本来ならここにいることのないモノ、とでもいうべきでしょうけども」

その様子を見ていた上空のモノ達はその場に下りてくる。

理御「・・・えっ?彼女、達は・・・」
???「シエスタ7917、ここに」
???「シエスタ7916、ここに」
???「シエスタ7915、ここに」
???「シエスタ7913、ここに」
???「シエスタ7912、ここに」
???「シエスタ7911、ここに。我等シエスタ七姉妹!!」

ウィル「シエスタ・・・七姉妹・・・だと?」
理御「ウィル!無理に動かない方が・・・」
ウィル「心配するな。片腕持ってかれた時と同じくらいの痛みなだけだ
・・・けど、アイツらは・・・」
321「元々は煉獄の七姉妹をベースに作られた分散力特化型のシエスタです。
ただ、ベルフェゴール、いえシエスタ7914だけは可能性の魔女となった時点でおそらくセイント卿も手出しのできないモノになったのだと思われます」
理御「そんな・・・そんなことが可能なのですか!?それに彼女達の今の主は・・・」
319「あのカケラの主であることは間違いないでしょう。・・・それよりも、貴方方は先にカケラの中へ行って下さい
そして、マスターを取り戻すのに協力していただけると、幸いです」
理御「・・・わかりました。行きましょう、ウィル」
ウィル「悪リィ、理御。俺は別行動だ」
理御「ど、どうしてですか!?ひょっとして傷が・・・」
ウィル「いんや。俺は俺で・・・寂しがり屋なネコの世話をしなきゃなんねぇ」
理御「な・・・こんなときに何故ネコなんか・・・」
ウィル「とにかくここから先は別行動だ。それより、理御を守ってくれるだろ?
シエスタ332」

ウィルは真剣な表情で332を見る、それに同意したというように332は敬礼をし

332「了解、ウィラード卿。アンタの相棒は最優先で守る」
ウィル「頼んだぜ」

そう言ってウィルはそのカケラの場所から離れるのであった
それを見計らい、理御と332はカケラの中に飛び込んでいく

7917「た、大変。あのシエスタの一人がカケラの中に入っちゃった!!」
7915「どうするのよ、7911姉!このままじゃあの耄碌ババァに怒られるの私達じゃない!?」
7912「うぇーん、あの人にお仕置きされるぐらいならエヴァ様のところに帰りたーい」
7916「ま、まさか食事を一週間抜きとか!?そんなのイヤー!!」
7913「どうするの!?7911!!さっさと決めて!」
7911「クッ・・・なんで私ばかりッ!7913、アンタがカケラの中に行って、私達はここで残りのシエスタを迎え撃つわよ!」

7913「了解!!」

そういうと7913はその場から姿を消す。

<hr>
ベルン「ロウカス・オブ・リミトネス・ショット!」
セイント「タイムスペース・ショックウェーブ!!」
セイント「・・・ディメンション・ウォール」

二つの光は出現した次元の穴に吸い込まれ、消える
先ほどから決着は一向に付かない、何故なら一方的に攻撃しているのはベルンカステルとセイントのみであり
相手をしている白きセイントは自身の身を守る魔法のみを扱うのだった

セイント「チッ、よくやるものだ」
ベルン「魔力の無駄うちね。どうにかできないの!?」
セイント「賢い選択はすぐにでもこの場から離れて例のカケラを見に行くのがいいのだが・・・」
ベルン「もう既に結界が貼られてる。あの歪なカケラにたどり着けそうにないわよ」
セイント「ならば無駄うちとわかっていても相手をするしか道は残されていないのであろうな」
ベルン「まったく、ヤな相手ね。それだけに・・・屈服させがいがあるのだけれど」
セイント「・・・それはフラグか?ベルンカステル卿」
ベルン「ち、違うわよ!!・・・一か八かね。さぁさ、お出でなさい、可愛い私の眷属達」

闇の空間に数多の金色に輝く猫の瞳が出現する

セイント「・・・可愛らしい子猫ですね。」
ベルン「でも、ウィラードの腕を奪うほどの猫よ。気をつけなさい」
セイント「そうですか、それなだけに残念です。可愛い子猫達よ、去りなさい」

ふわりと優雅に手にした金色の杖を振るう、それだけで目に見えぬ衝撃波が起こり、空間を埋め尽くしていた猫達はあっと言う間に気絶してしまった
ベルン「物量作戦もダメ・・・か」
フェザ「では、私の出番とでも言うべきかな」

いつの間にか出現したのかそこにはフェザリーヌが悠然とした笑みを浮かべながら立っていた
ベルン「アウアウローラ、やっとお目覚め・・・?」
フェザ「私の可愛い巫女がピンチとなれば主が出てくるのは不思議でなかろう。」
ベルン「こんな時ぐらいは感謝するわ、我が主、適当なところで足止めをお願いしようかしら」
フェザ「足止めなど・・・私には難しい、このカケラにての我が力はそのような小さいものに扱うのではないからな」
セイント「それならば、フェザリーヌ卿。そなたの力で私とヤツとを二人っきりにさせてほしい」
フェザ「・・・よかろう。尊厳なる観劇と戯曲と傍観の魔女、フェザリーヌ・アウグストゥス・アウローラの名において、カケラの書物よ。彼の者を封じよ!!」

フェザリーヌが杖を再度振るうと一つの書物が眩い光を放ちながら飛び、そして二人のセイントの姿を飲み込むとパタン
と閉じた。

ベルン「それで二人ともを消したのかしら?」
フェザ「残念だがそれはない、二人とも異世界でありながら魔力が強い、いずれは出てくるであろうが・・・
それまでにこのゲーム盤を閉じる必要があろうな」
ベルン「そうね、どうせあのスザクも長くは持たないだろうし。私がやっぱり出て行かないとね。クスクスクス」
フェザ「では、この結界を破って早々とカケラの元へ行こうか」

トン、と杖を一度叩いただけで貼ってあった結界はあっさりと破られ、二つの影はカケラを目指してカケラの海を渡って行くのであった