うみねこのなく頃にEpisodeEX-Grief of goldenwitch-X

この物語は私のオリキャラが主役ですので、苦手な方もご注意ください。

数多あるカケラの一つ、六軒島へようこそ
小さな黄金の魔女共々、皆様には最期のゲームを楽しんでいただきたく存じます
ゲームマスターは漆黒の髪の魔女、このゲームの勝者は果たしてどちらになるのか

難易度はもはや計測不能、挑む、というよりもこの物語を最期まで観劇いただけるだけで私は満足です。

朱裡「ここにいる右代宮家全員で、碑文の謎を解いてみせれば良いのではないでしょうか?
もちろん、子供達もきちんと入れてあげてください。大人よりも子供の方が考えが柔軟であると思われますので」

そして、その場は凍りつくように冷えた空気を作り出す。


ベルン「駒とはいえ、右代宮の人間を丸め込もうというの?浅はかにもほどがあるわね」
シュリ「上手く行くかどうかは、あの子の言い分にかかっているということね」
ウィル「だが、それ故に丸め込まれたら惨劇はなくなるにも等しいぞ」
ベルン「・・・別に、どうだっていいわ。それで事態が面白くなるのなら」


沈黙の静けさに包まれたのをかき消したのは、絵羽の机を叩く音だった
絵羽「じょ、冗談じゃないわ!!どうしてありもしないような。お父様のインゴットを探し出さなきゃならないの!?それも子供達を巻き込めってどういうことよ!!」
楼座「そ、そうよ!子供達も巻き込んでなんの利点があるというの!?」
夏妃「全くもってお二方の言うことには一理あります。何故我が子達をも巻き込む事態にならなければ行けないのですか!」

母親である三人はそれが腑に落ちないと意義を申し述べる。
だが、対局に父親勢および霧江だけはその事態を黙ってみていた
そして・・・

朱裡「皆様の言う意見も道理です。半信半疑の金蔵氏のインゴットを見つけるのようなものは博打にも近しいことでしょう
それをお子様にも手伝わせるということは実に我ながら軽率な意見でるということはもちろん存じております」
絵羽「だったら・・・!!」
朱裡「ですが、私はそこにこそ金蔵氏の意思があるのではないかと、そう思うのです。」
夏妃「お、お義父様の意思があるとはどういうことですか!!?だいたいあの碑文のとおりにしては・・・」
霧江「・・・夏妃姉さん、ちょっと待って。私は興味があるわ。何故そこに金蔵さんの意思があると思うのか聞かせてもらえるかしら?」
朱裡「わかりました。これは私の個人的な見解および一介の推理でしかありません。そのことをご了承ください」


シュリ「金蔵氏は家族である息子、娘達に落胆したから碑文を掲げたのではない。
何故なら、彼らが解き明かす前に既に魔女ベアトリーチェがその碑文を解いて、次期当主になっている
本当に落胆して、誰でもいいから次期当主になってほしいとしているのであれば、金蔵氏が遺書でも書いておけばいい
なのに、それを誰もしていなかった。
・・・その理由は」
ウィル「碑文の本当の目的は、誰か一人を当主にさせるためではない・・・ということか?」
シュリ「そう、それこそ。金蔵氏の目的ではなかったのかと朱裡はそう言った。」
ベルン「おあいにく様ね。ノックス第8条。提示されない手掛りでの解決を禁ず
それでは通用しないわ」
シュリ「確かに、これでは推理の端くれにもなりません。ですが・・・私が今しているのは、推理でもなければ魔女への挑戦でもない」
ベルン「馬鹿ね、これが魔女のゲームなのだからアンタにはそれを受ける義務が・・・」
シュリ「私がこのゲームにおける勝利条件は最初から一つです、このゲーム盤に惨劇を起させないこと。それさえ達成できるのであれば、推理も何もいりません
だって・・・推理とは事件が起きた時にすることであり、今は事件すらも起きていない。不必要なことではありませんか?」
ベルン「・・・屁理屈もいいところね」
シュリ「おかげさまで、性格がひねくれてたのが貴女を見てまっすぐになったところです」
ベルン「・・・まぁ、いいわ。さっさと次のシーンに行きましょう」


朱裡「・・・・はぁ」

なんとか大人組みの説得に成功した朱裡は此処一番のため息をつく

ほとんどの大人達がゲストハウスにいる子供達を迎えに行っている現在、本館の居間には朱裡と理御、源次に熊沢、紗音の四人であった

理御「大丈夫ですか?朱裡さん」
朱裡「え、ええ。なんとか・・・」
理御「にしても、大胆でしたね。貴女の推理は聞いていて飽きなかったですよ。」

やんわりと微笑む理御に対して朱裡はフッと目を伏せながら自嘲気味に笑みを作り

朱裡「そんな・・・あんなものは推理ではありません。ただの屁理屈ですよ」
理御「ですが、貴女は大人達を動かすことができた、これはすごいことです
朱裡「・・・できることなら、私は同じことを私の世界でしたかった・・・!!
でも、誰よりも先に解きたいと思ってしまったから・・・あの子が生まれてしまった」
理御「ですが、逆を返せば貴女の分身は生まれなかった。」
朱裡「あの子が・・・・いえ、『全ての頂点に立ちたい』と思った私の邪な心の幻影が・・・大切な人達を殺めてしまうなんて」
理御「・・・私も、別の世界の私・・・ベアトリーチェを知った時に同じようなことを思いました
なんて残酷な人なのだろう、そう思ったのです。でも・・・・」
朱裡「でも・・・・?」
理御「彼女は自分の心に正直になれなかっただけなのです。好きな人がいて、その人に想いを告げないままでいた
そうだから、彼女の残酷な部分は、純粋だからこそ堕ちてしまった深い闇なのかもしれないと、私は感じました。
だからこそ、私は生きたい・・・・彼女達の悲しみの分まで足掻いてみせると、そう誓ったんです。」
朱裡「・・・・強いのですね、理御さんは」
理御「朱裡さんにもきっとありますよ、その強さは」
朱裡「そうでしょうか・・・・・」
理御「・・・ええ。きっと」

理御が微笑むとほぼ同時に廊下の方よりにぎやかな声が聞こえてくる
子供達と大人が戻ってきたのだ。

戦人「こんだけの人数で碑文解きとはすごいことになってんなぁ」
朱志香「おじい様の黄金の碑文解きなんて今更だけどさ・・・」
譲治「まぁまぁ、とにかくやってみる価値はあるものだと思うよ?黄金があるかないかは別にしてね」
真里亞「うー、ヱリカを出し抜く!!」
戦人「おう、あの自称探偵の鼻を明かしてやろうぜ!」

蔵臼「さて、皆が集まったところで本題に入ろうか。」
朱裡「では・・・紗音さん。例の地図と文献を」
紗音「はい、こちらです」

紗音が持ってきた地図と文献に大人達の表情が強張る

絵羽「なっ・・・・こ、これは・・・!!」
留弗夫「ひゅぅ、こりゃ。そういうことかよ・・・・」
楼座「い、一度くらいしか考えたことなかったけれど、まさかそういうことなの・・・・?」
朱裡「では、皆さん。碑文の最初から考えましょう。」

<hr>

ザッザッザッザッ

雨の中、大勢の影が移動をする。
碑文の解読の正解を確かめるために・・・・

留弗夫「ちゃんと足場支えていてくれよ?ぬるかみだから余計に怖いからよ」
霧江「くすっ、大丈夫よ。ちゃんと支えてるわ」
朱裡「では留弗夫さん、第一の晩からです」
留弗夫「おぅ」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

朱裡「次は第二の晩です」

ゴゴゴゴゴゴ

朱裡「第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9・・・・」
留弗夫「これで・・・最後ッ!!」

ガコン

戦人「い、今どこかが開いた音がしなかったか!?」

すぐに探し始めると、いち早く異変に気づいたのは朱志香であった

朱志香「せ、石像が動いてる・・・・!!」
絵羽「そ、そっちなのね!!」

走り出そうとした絵羽の前に朱裡が両腕を伸ばした状態で立ちふさがる

朱裡「ここから先も全員で行きます。誰も遅れないようにしてください」

カツンカツンカツン・・・・

ひんやりする地下へ続く階段を大勢の足音が下りていく

朱裡「・・・着きました。」
楼座「だ・・・・『第十の晩に、旅は終わり、黄金の郷に至るだろう』ほ、本当にここがッ!?」

扉に書いてある文字を読んで楼座が絶句する、それだけではないそこにる誰もが口に出さないだけで絶句していただろう。
ただ二人・・・朱裡と理御を除いて

朱裡「・・・開けます」

そう言って扉を開けた・・・・・・


<hr>

ベルン「Congratulations!!

ベルンがそう叫ぶと対戦場であったそこは黄金の蝶の乱舞の中へと一瞬にして変わる

シュリ「・・・私の勝ち。ですね」
ベルン「・・・そうね。アンタの負けよ。シュリ・ベアトリーチェ
シュリ「なっ・・・・んで・・・・」

ウィル「テメェ、まさか・・・」
理御「ど、どういうことですか!!?いきなり負けだなんて・・・・」
ベルン「私は開始前に言ったわよね?『対戦相手はこの古戸ヱリカ』だって・・・・」

そういってベルンは人形のように座っているヱリカを脚で蹴ると気味の悪い笑みを浮かべる

ベルン「本当にアンタ・・・『この古戸ヱリカ』と戦ってたぁ・・・・?」
シュリ「なに・・・を」
ベルン「『この古戸ヱリカ』は自分の意思さえもないような人形よ。それがどうやって戦うっていうのかしら・・・クスクスクス」
理御「だ、だからなんだというのですか!!?このゲームに殺人は起きてません!それならシュリさんの勝ちではないですか!?」
ウィル「違うんだ。こいつは・・・・この古戸ヱリカは・・・いや。ゲーム盤の古戸ヱリカは」
シュリ「別の・・・人間、いえ、魔女が操っている・・・?」
ベルン「そういうことよ。そして・・・シュリ、アンタの良く知るニンゲン」
シュリ「・・・・誰、ですか?」
ベルン「いいわよ、出てきなさい」

ベルンが指を弾くとふわりと降り立つ一つの影
シュリ「嘘・・・でしょ。なんでアンタが」
ベルン「いい演出でしょう?さぁ、負けた相手には罰ゲームをしなくっちゃね」

もう一度ベルンが指を弾くとシュリの姿は跡形もなく消える。
???「これで、契約は終了だな」
ベルン「ええ、あとは好きにやりなさい。夢現の魔術師、スザク・ベアトリーチェ」
スザク「・・・ああ、勝手にやらせてもらう。下位の世界じゃ。古戸ヱリカが時限爆弾を作動させてる頃合いだしな」
ベルン「ということで、ウィラードに理御。この前できなかった続きを始めましょうか」