うみねこのなく頃にEpisodeEX-Grief of goldenwitch- W

T〜V話umi51166,51881,53806

この物語は私のオリキャラが主役ですので、苦手な方はご注意ください。

数多あるカケラの一つ、六軒島へようこそ
小さな黄金の魔女共々、皆様には最期のゲームを楽しんでいただきたく存じます
ゲームマスターは漆黒の髪の魔女、このゲームの勝者は果たしてどちらになるのか

難易度はもはや計測不能、挑む、というよりもこの物語を最期まで観劇いただけるだけで私は満足です。

まどろむ・・・まどろむ・・・・
ここは何処か、と問いかければ心地よい眠りの場所、と返ってくる。
そう、ここは眠れるモノの布団の上であり、棺おけの中でもある
ああ・・・ここから出たくない。だけど、感じる、この棺おけの中でさえ、私を縛る永遠の鎖の重みを


???「・・・ん、さんッ。り・・・さ。朱裡さん!!?」

あまりにも乱暴に起される朱裡。
驚いて見渡せば、不機嫌そうな態度のヱリカがそこにいた

朱裡「あ・・・ごめんなさい。私、寝てました?」
ヱリカ「ええ。3分ほどですけどね。良く寝られるものです」

朱裡とヱリカは同室の部屋だった、正確にはヱリカが何かをしないように、と思った朱裡が同室に泊まることを提案したのだったが
外では雨がまだ窓を叩きつける音がし、雷も遠くの方で鳴っている。
時計は見ると午後10時になろうとしていた。


321「どうですか、守備は。」

唐突に321が出現し、現状を確認する

朱裡「ええ、でも・・・あまりいいものではないわね」

つい先ほどの夕食の時を思い出す、当初朱裡とヱリカは客人として招かれていた
しかし、その席でふいに会話の中に出されたミステリー談義でヱリカは自称・探偵としてその知識を披露する
だがそれは一方的なモノであり、右代宮のニンゲンを不快にしかさせていないようであった。
朱裡もそれに気づいて止めようとはしたのだが、結局できずにいたが譲治の機転によりクイズ大会となった
それでもヱリカの饒舌は止まらず更に状況が悪化しようとしたところを朱裡が彼女をゲストハウスの部屋へと連れて行ったのであった。

朱裡「・・・本当は、彼女に客人たるマナーをなんたるか。説教するつもりだったのに」
321「眠気に耐えられずに寝ていたのよね。だってアナタはニンゲンだもの。眠気に負ける時だってあるわ」
朱裡「そう、ですよね。ニンゲンですもの」
321「でも、これから夜にかけては貴女は寝てはダメよ。探偵「古戸ヱリカ」に隙を見せてはいけない。」
朱裡「ええ、彼女にテープを使わせないし、一晩中の聴取を一人ではさせないわ」


ヱリカ「・・・・聞いてます?朱裡さん」
朱裡「えっ!?あ・・・えっと・・・」
ヱリカ「聞いてないならそれでもいいです。では」

そう言ってヱリカはその部屋を出て行こうとする。

朱裡「ちょっ・・・何処へ行くのですか!?」
ヱリカ「何処って、このゲストハウスの一階ですよ。この部屋にいても何も面白くありませんから
第一、もう一度外に行こうものならまた濡れるではありませんか、そんなのはノーサンキューですので」
朱裡「そ・・・・んなの」

ヱリカを止めようとした言葉に力が篭らない、それどころか自分ではない意思が何かを紡ごうとする
そして・・・・

朱裡「・・・わかったわ、いってらっしゃい」
ヱリカ「ええ、夜中前までには戻りますわ」


朱裡「・・・これは、どういうこと・・・?」
シュリ「あれが古戸ヱリカに許された能力【探偵権限】全ての駒は等しく彼女の行動を制限することができない
・・・でもこれでひとまず安心ね、探偵権限によって古戸ヱリカが殺人を犯すことはない、というかできないのだけれど」
朱裡「もしそうなら、まさか右代宮のニンゲンが疑われることになるのじゃないの!?」
シュリ「そうならないために、貴女がいるんじゃない。ただ、履き違えているとは思うけど。
貴女の存在していたゲームでは統率する二人が死んだから疑心暗鬼が起こった、でもこのゲームはそうじゃないわ
疑心暗鬼は常に存在し、誰の心にもある、それを理解しなければ、殺人は必ず起きる」
朱裡「そんな・・・ッ。一介の客人でしかない私に何ができると」
シュリ「客人だからできることを探すのよ。そして・・・もし本当にアンタがあの世界でしたことを悔いているのであれば・・・」
朱裡「アレは私がしたことじゃないわ!!貴女が勝手にしたことよっ!!」
シュリ「それもそうだったわね・・・勝手なこと言ったわ、そこだけ謝っておくわ。
それよりも、考えなさいよね。貴女にできることを」

朱裡「私に・・・できること・・・」

そう呟くと朱裡は部屋の窓に近づく、外から叩きつける雨の音が更に近くなる
その時、突然部屋のドアがノックされる。

朱裡「は、はい!?ど・・・どなたですか!!?」

ヱリカがこんなに早く戻って来るわけはないと思っていたので驚きつつもドアに近づく

真里亞「うー。朱裡さん?こんばんわ」
朱裡「あら、その声は・・・たしか真里亞ちゃん。どうしたの?ってごめんなさい。今開けるわね」

ガチャリ

扉を開けると真里亞がニパッと可愛らしい八重歯を見せながら微笑んでいた。

真里亞「うー。あのね、ヱリカさんには内緒で、連れてきて欲しいって頼まれたの」
朱裡「わ、私を・・・?」
真里亞「うー、とにかく来て欲しいってママ達にいわれたの。お願い」
朱裡「わかったわ。じゃあ少し行きましょうか」

真里亞と朱裡はゲストハウスから出て、屋敷に向かうことになった

<hr>
シュリ「・・・・・・・」
ベルン「何か言いたそうな表情ね。なぁに?」
シュリ「いえ、こうして駒の真里亞が来るなどということは予想外でしたので」
ウィル「・・・駒の行動に気を取られすぎると後が大変になる、ほどほどにしておいた方が身のためだぞ」
シュリ「そこは言われなくともわかってます。・・・・この後の展開に期待しましょう」
<hr>

朱裡「えっ?・・・碑文殺人・・・ですか?」
蔵臼「それの真似事だ。無論、客人である君に犠牲役を強いるつもりはない。だがつまるところ」
絵羽「客人だけれども貴女もこの狂言に参加して欲しいってことよぅ。役割は簡単、死体役の人間を見ればいいだけ。つまりは第一発見者ね」
朱裡「は、はぁ・・・・とは言われましても」

困ったことになった、と朱裡は考える。自分が見たとしても今の古戸ヱリカは騙せないであろう、と
そう考えたからである。

留弗夫「ほら、言わんこっちゃねぇ、いくら客人の一人とはいえ流石に押し付けすぎだぜ」
楼座「そ、そうよ。いくらなんでも・・・迷惑だと思うわ」
夏妃「嫌であれば断っていただいても構いませんから・・・」
朱裡「えっ・・・あの・・・その・・・」

滞在先の客人としてどう振舞うべきか、朱裡は困り果てる。
と、その場を静かに静観していた理御が口を開いた。

理御「朱裡さんは何か他にいいご提案があるのではないでしょうか?」
朱裡「え・・・?あ・・・」

その言葉に助けてもらったのだと思うと混乱していた脳内の考えを整理させ、口に出す。

朱裡「・・・その前にお聞かせください。この狂言は古戸ヱリカさん宛て。ですか?」

するとその場にいた全員が変に沈黙をする。それだけで正解であるといった感じだった。

朱裡「彼女を困らせたいのであれば、狂言劇を演じるよりもっと良い方法があると思います。」

今度はそれに興味を惹かれたのかひそひそと話し合う声が聞こえる。

蔵臼「そ、その案を一応聞かせてもらっても良いかね?」

朱裡「はい。・・・・ここにいる右代宮家全員で、碑文の謎を解いてみせれば良いのではないでしょうか?
もちろん、子供達もきちんと入れてあげてください。大人よりも子供の方が考えが柔軟であると思われますので」

<hr>
その頃、ベアトリーチェの黄金郷ではある一つの事件が起きていた。
あれだけ舞っていた黄金の蝶は一匹も見当たらず、いつもであれば幻想の住民の笑みが絶えない場所
それなのに、煉獄の七姉妹は地面に倒れ伏せ、大悪魔の四人ですらも致命的なダメージを受け、戦闘不能
有限の魔女は・・・今、まさにその存在に倒された。
突然現れ、突然のうちに黄金郷を悲劇の場所にかえさせたその者は、黒いフードを深く被り、顔が見えない。
手には漆黒の槍。そして、その前に出現している眷族達は、この世界ではあり得ない存在。

「・・・大ベアトリーチェ卿およびバトラ卿の魔力反応ありません、いかがいたしましょうか」

眷属の一人が言う。するとフードの人物はくるりと背を向ける。
「興味がない、それにこれだけ屠れば問題ないだろう。こんなところで油を売ってる暇などない」
「ですが、それではベルンカステル卿との契約が・・・」
「・・・世界の領主様とやらを屠るのは、あとでもかまわないだろ。大本の契約内容からは外れてないのだからな」
「畏まりました。では、ゲーム盤の裏側に転送いたします。」

スッと眷属の姿が消えるとフードの人物は顔を隠すフードを脱ぎ捨てる。
黒い短髪、黒い瞳。そして・・・着ているスーツの胸元には銀色に輝く双頭の鷲のブローチ

「待っていろ、今・・・俺がそのゲーム盤を壊しに行くからな」