うみねこのなく頃にEpisodeEX-Grief of goldenwitch- V

この物語は私のオリキャラが主役ですので、苦手な方もご注意ください。

数多あるカケラの一つ、六軒島へようこそ
小さな黄金の魔女共々、皆様には最期のゲームを楽しんでいただきたく存じます
ゲームマスターは漆黒の髪の魔女、このゲームの勝者は果たしてどちらになるのか

難易度はもはや計測不能、挑む、というよりもこの物語を最期まで観劇いただけるだけで私は満足です。



理御「初めまして、私は右代宮理御と申します。どうぞお見知りおきを」



ガタン
大きな音がする、ベルンカステルが座っていた椅子を蹴って倒したのだった

ベルン「嘘よッ!!こんなの有り得ないわっ!!」

いつもの彼女らしくないように大いに焦っているのが誰しも手に取るようにわかるのであった。

ウィル「嘘じゃねぇ、今回のこのゲームにも俺達は参加させてもらっている。」

黄金の蝶が群れになるとウィルがベルンカステルとシュリの間の椅子に姿を現す。

ベルン「ゲームマスターは私よ!それなのに誰が存在しない駒を送り込めるというの!!?」
ウィル「ゲームマスターじゃなくても送り込めるヤツがいた、それだけの話だ」
ベルン「そんなの有り得ないでしょ!?何を勝手に・・・ッ」

ベルンカステルが理御の駒に手を伸ばそうとした・・・ただソレだけだったのだが、一瞬にしてそれは起きた。

バチィィッ

小さな稲妻のようなものがほとばしるとソレはベルンカステルの足元に小さなクレーターを作る。
まるで何かの意思が威嚇するかのように攻撃を行ったのだった。

ウィル「俺と理御はその送り込んできたヤツと契約した、その対価として俺達は何人にも傷つけられないし、除外はされない。
ただ・・・このゲーム盤上として起こる儀式についてだけは例外になっちまうらしいが」
ベルン「クッ・・・」

苦々しそうにウィルを睨みつけるベルンカステル、だがウィルは涼しい表情でそれを受け流すとシュリのほうを向く

ウィル「そして俺達が依頼を受けたヤツから頼まれたのは。シュリ・ベアトリーチェ
お前をこのゲームに勝たせることだ」
シュリ「へ・・・?」
ウィル「詳しいことは聞いていないが、とにかくこのゲームで勝てるように補佐することが俺達の目的だ。
・・・それまでは、よろしく頼む」
シュリ「こ、こちらこそよろしくお願いします。」
ベルン「クッ・・・・」
セイント「何をボンヤリしておるのだ?ベルンカステル卿。早く続きを見せよ」
ベルン「わ、わかったわよ!続ければいいのでしょう!?」


朱裡「えっと・・・理御、さん?」
理御「はい。・・・ああ、さん付けはされなくても結構ですよ。貴女はお客様なのですから」
朱裡「そう言われましても。あの、もう一人お客様が見えてると仰っていたようですが・・・」
理御「ああ、古戸ヱリカさんのことですか?彼女も先ほど漂着して今は着替えを済ませているところだと思いますよ」
朱裡「そう、ですか・・・良かった無事で」
理御「・・・彼女とはお知り合いですか?」
朱裡「え、ええ。まぁそのようなものですが・・・・」
理御「・・・・可哀想に、あの魔女からは逃げることのできない永久の駒だとは」
朱裡「は・・・?えっ?」
理御「いえ、なんでもありません。よろしければ屋敷の案内などを致しますが、いかがですか?」
朱裡「・・・・あ、えっと。差し支えなければその前に皆様にご挨拶をしたいのですが」
理御「わかりました、では一度確認してきますね」

そうして理御が出て行った後


朱裡「・・・こんな感じでいいのかしら?」
321「はい、上手く取り入れるにはそれしかないでしょうからね」
朱裡「この屋敷の間取りなどは一応私わかるのに、それに・・・・」
321「碑文についてはゲームの流れに沿ってください。いきなり客人が解いてしまうと変に誤解を招く恐れがあります」
朱裡「わかってるわ。けど・・・できれば、私は事件を防ぎたい」
321「それでしたら、ニンゲン観察と、古戸ヱリカには充分お気をつけください」
朱裡「警告ありがとう、瑠樹さん」
321「・・・私はシエスタ321ですってば」



コンコンッ
朱裡「は、はいッ!?」

いきなりのノックに驚き朱裡は体を強張らせた

紗音「初めまして。右代宮家使用人の紗音と申します。次期当主様および親族様方が是非お会いしたいとのことでしたので食堂までご案内いたします」

ペコリと挨拶をしながら微笑む少女にホッと息をつく朱裡、そして紗音に着いていき、食堂へと導かれたのであった


ベルン「・・・で、この後朱裡もヱリカも蔵臼達の前で挨拶することになるわ」
シュリ「随分お急ぎのようですね、ベルンカステル卿?それほどまで事件を起したいのですか?」
ベルン「単調な作業ほど飽きてくるのよ、それ以外の説明がいるのかしら」
ウィル「GMは読み手に相応しい物語以外を紡ぐのは違反だと思うのだが」
ベルン「それだったらアンタと理御の方がよっぽど邪魔よ、ああ、忌々しいったらありゃしない」

ベルンカステルは苦々しげにそう口ぞえをする。
ウィルのこともそうだが先ほどからバルコニーの上のセイントがクスクスと笑うのも癪に触っているようだった

セイント「魔女狩りのライト卿よ。そなたよもやこのまま事件が起きるのを待つつもりであるまいな?」
ウィル「・・・どういうことだ」
セイント「惚けなくても良い、お主らを雇ったであろう魔女は既に理解済みである。そして、この場所にいることもな」
ウィル「・・・チッ、厄介な魔女はベルンカステルだけで充分なんだがな
バレてるならば隠れても意味ないだろ、出てきてもいいらしいぞ」

ウィルが声をかけると金色の蝶が形を作り、姿を現す。

ベルン「・・・やってくれるじゃないの、また一つ私の駒を使ってくれるわね」

ベルンが弾きつり気味の笑みを見せる、そしてその魔女は口を開いた

クレル「・・・私は、【時空(トキ)の魔女】、そして今の体は、クレル・ヴォープ・ベルナルドゥス。創造主になることを拒んだ魔女」
ベルン「よくも私のゲームをめちゃくちゃにしてくれてるわね。アンタを八つ裂きにしても足りないぐらいの怒りよ」
クレル「私の力は先ほどの威嚇で充分だと思いましたが、それでも尚私にそれを求めるのですか?幼き奇跡の魔女よ」
ベルン「ええ、足りないわねっ。この世界で一番残酷な魔女である私をコケにしたことを思い知るがいいわ」
クレル「・・・貴女では私の千年・・・否百年にすら足りない。そして私の目的は貴女でもない
我が望みはこのゲームを終わらせること、惨劇も起させず、かつ幸せたるハッピーエンドを紡ぐこと」
ベルン「バカじゃなぁい!?この私がそれをさせるとでも思って?」
クレル「・・・黄金の魔女は時に変化をもたらします、初代ベアトリーチェのワルギリア、二代目のベアトリーチェ、三代目のエヴァ・ベアトリーチェ・・・・
そして、黄金の魔女を引き継ぎながら反魂の称号をも手に入れた、エンジェ・ベアトリーチェ
それが意味するものは完全に完成されたモノではないということ、二代目のベアトリーチェの魔法体系はマリアージュ・ソルシエールで完成
だけれどそれは二代目のみの特権であり、称号を引き継いだからといって己の力を過信しすぎてはいけない、あらゆる意味で成長途中な魔法・・・」
セイント「簡潔に言えばその意味で我が茶葉は成長途中、己が見出す黄金と無限以外の称号を持つ日もまたある、ということか」
クレル「・・・そういうことです、その目覚めが来ればこのゲームを終わらせることができるでしょう」
ベルン「そんなもの来ないわよ、私が保証するわ。【このゲームに惨劇以外の物語は・・・】ッ!?」
セイント「言ってはならぬ。いや・・・言ってはその時点でそなたの負けだ。
しかし、気が変わった。これより私はベルンカステル卿の味方となろう。そういうことで一度作戦タイムだ!」

セイントは突然バルコニーから飛び降りるとベルンカステルを何処かへと連れ去って行く

ベルン「ちょっ、放しなさい!!このババァー!!」

もがきながらも連れ去られていくベルンカステルにシュリ達は呆気にとられる

クレル「・・・・仕方ありません。私達はここで待ちましょう」


ベルン「ちょっと、この私を連れ出してどうしようと言うの!?」
セイント「・・・・このゲームには少々事情ができた。それだけのことだ
共闘すると告げたのであるからそこまで警戒しなくても良い、むしろ・・・いや、これは余計か」

そう言うとセイントは一つのカケラをその手に出現させる

セイント「そのカケラを覗くと良い、それこそそなたの最大の駒であり、我が茶葉を鳥かごに閉じ込めることのできる駒でもある」

ベルンはそのカケラを覗き込むとニヤリと笑みを零した。

ベルン「ホント、最悪ね。アンタの趣味って」

セイント「褒め言葉として受け取ろうぞ、有意義に使うと良い」

ベルン「・・・いいえ、今使ってしまっては全くの無駄というものよ。これは最後の最後、アイツを追い詰めてから出してやるの
クスクス、その絶望に満ちた顔を考えただけで面白くなるわね」

ベルンカステルとセイントは何事もなかったかのようにシュリ達の下へ戻る。

シュリ「もう良いのですか?話し合いは」
ベルン「ええ、結構よ。さて、再開しましょうか。このゲームを」